夫が倒れた。

あれは、去年の暮のことです。
夫が電子レンジでさめたコーヒーを20秒温めていたとき・・・・
がくっと、倒れこんだのです。
176cm、体重80kg。
あの大男が崩れるように、キッチンで横になり、バクバクしている心臓を手でおさえています。
意識はあります。
「じっとしてれば 大丈夫」と言いました。
約5分後、落ち着いてきました。
ゆっくりと定位置のソファーに行って、改めて横になりました。
夫「どう考えてもおかしい!病院に行こうっ!」
私「うん」
夫はゆっくりと歩いて、車に乗り自分で運転して近くの病院に行きました。
診察室に呼ばれ、
夫「2,3か月まえから階段を上がったりすると、心臓がバクバク言い出したんです。
さっきは、倒れました。
最近は、お風呂に入ってもバクバクいいます。体重は1か月で10kg減りました。」
ドクター「えっ!1か月で10kgもっ?すぐに血液検査をしましょう。そのあと、CTです。」
血液検査を終えて、待合室で、待っていた私の隣に座った夫。
「血液検査の、試験管みたいな入れ物あるじゃん?あれに、入院って書いてあった。」
私「えっ!すでに入院?かなり重いのかな?」
夫「だろうな」
その読みは的中し、即入院です。
ドクター「松本さんの血液は、通常の同年代の男性の約半分もない状態です。すぐに輸血をしますので承諾書にサインをお願いします。」

マーカーのところは、ヘモグロビンです。
成人男性の場合14~18が正常です。
右端の6.6が入院時の数値です。
輸血のリスクについての説明を受けたりしましたが、リスクを考える余裕などありません。
そして、血液が到着するまでのあいだに、点滴が始まりました。
その間に、私は、入院に必要なものをナースから教えてもらって、自宅まで取りに行きました。
スリッパや歯磨きセット、コップやお箸、スプーン、タオル、ケイタイの充電器などを抱えて病室に戻ると、輸血が始まってました。
ドクターに呼ばれました。
CTを見ながら説明をしてくださいます。
ドクターが院長先生に交代してます。
院長先生「胃カメラを撮りたいのですが、胃の内容物が消化されてませんので、今日から絶食です。
水分も取らないでください、最悪、胃がんの可能性もあります。」

説明:LDHの数値は、桁がちがってます。
通常は120~245です。
しかし、これは腫瘍マーカーではありません。
私「へっ?胃がんですか?どのくらいのステージですか?」
ドクター「たらればの話ですが これで胃がんならば Ⅳです。末期です。」
ドクターは、普通の顔で私に伝えた。
ドクターにとっては日常茶飯事なのでしょうか?
私は、茫然自失!!
がんばって病室にもどると夫が「どうだった?」と心細げに聞いてきました。
私「だいじょうぶだって、輸血したら治るって、でも、胃カメラで胃を見てみたいから 今日から絶食だって。」
夫「どっちにしても食欲ねーんだ。面会時間が過ぎてっから、もう帰ったほうがいいよ。 明日また来てね。」
そういわれて、帰り道、私は、泣きながら帰りました。
歩いて10分ほどの距離ですが、号泣です。
そして、なんやかんやあって、結局は、胃がんでも、大腸がんでもなく、血液の溶血という診断が下りました。
大きな病院にむりやり転院させていただいて、やっと、わかった病名です。
最初の病院では、胃がん、大腸がん、挙句の果ては、白血病の疑いがあるとまで言われました。
すべて、外れています。
院長先生いわく「たらればと言いましたでしょう?」
しかし、患者の家族は、たらればであっても、怖い病名を言われると、ドキドキするのです。
はっきりしてから、告げてほしいものです。
夫には一切、言わないようにお願いしました。
「ああみえて、夫は、気が小さいところがあるので、そんなことを聞いたら、闘病生活もいやになってしまうかもしれないので、絶対に、病名は言わないでください。」
とお願いしました。
今の医療現場は、患者側がしっかりとこの意思表示をしないと、患者本人に病名を告知してしまうのです。
途中、結石が発見されて胆のうの全摘もしました。
そして現在は、1か月に1度の血液検査と、ビタミンの注射と投薬により、普通の生活ができている状態です。
結局のところ、どこから、血液が流れ出て、通常の半分になったのかは不明です。
ヘモグロビンは5年分くらいは体内に貯蔵されているそうです。
それが、夫の場合は、すっからかんになってました。
5年かけて溶血していたのです。
すぐに症状がでない血液の減少・・・・
少しの運動で、心臓がバクバクいいだしたら、ぜひ、受診をおすすめします。
夫は現在、薬と注射により、体調は改善されているので、食事についてはなにも注意事項はないのですが、できるだけ野菜を摂るようにしてほしいと思ってます。
しかし夫、大の野菜嫌い!
のど元過ぎれば熱さを忘れるで、あの頃の苦しさをすっかり忘れて、野菜を摂ろうとしません。
再発防止のためにも、もっと野菜を食べてほしいと思っています。
できれば禁煙もおねがいしたい。