「最近これほど泣いたドラマは初めて」──そんな声があちこちから聞こえてくるのが、韓国ドラマ옥씨부인전(オク氏夫人伝)です。
イム・ジヨンさん演じるクドクの人生は、まさに“波乱万丈”という言葉がぴったり。
奴婢(ぬひ)として生まれ、偽りの身分で生き抜いた彼女が、最終回でどんな結末を迎えたのか。
最後に明らかになるミリョンの正体、そしてスンフィとの涙の別れ。
あの意味深な手紙の一文まで──今回は余すところなく紹介していきます。
クドクの生き様と最終回の展開
運命に逆らった女・クドク(イム・ジヨン)
クドクは奴婢として過酷な運命を背負いながらも、知恵と勇気で生き抜いてきました。
疫病や陰謀の中心に巻き込まれ、それでも人々を救おうと奔走する姿に、観ているこちらまで胸が熱くなる。
特に最終回では、国中を襲った疫病の真相を暴き、王から「免賤(めんせん)」――つまり奴隷身分の解放を正式に認められた瞬間が感動的。
序盤では彼女に石を投げていた民衆が、今は花を投げて祝福する。
そのコントラストが本当に泣けました。
スンフィ(チュ・ヨンウ)の想い
スンフィが牢獄からクドクに送る手紙の内容があまりにも切ない。
「時間を巻き戻しても、私はまた夫人に会いに行きます」
──この一文で止まっていた涙腺が一気に崩壊。
スンフィは最終的に自らの名誉よりもクドクの自由を選びます。
そして彼が書いた“ひとつの物語”。
それこそがドラマのタイトルでもある옥씨부인전、つまり「オク氏夫人伝」なのです。
メタ的な演出が秀逸で、視聴者自身も“スンフィが残した物語”を読んでいたという構造。
これには鳥肌が立ちました。
ユンギョムの決断と犠牲
スンフィと瓜二つの存在として登場したユンギョム(同じくチュ・ヨンウさんの二役)。
最終回では彼がスンフィの代わりに命を落とすという悲劇が待っていました。
疫病を広めた張本人パク・ジュンギの罪を暴くため、ユンギョムは自らの命をかけて真実を守り抜くのです。
ユンギョムの死後、クドクは“夫を失った婦人”としてではなく、“人々を救った外知部(がいちぶ)の夫人”として歴史に名を刻むことになります。
ミリョンの正体に隠された衝撃の真実

ミリョンの正体と衝撃の真実
ドラマ『オク氏夫人伝』で、最終盤まで視聴者を翻弄した人物がミリョンでしたよね。
彼女は序盤では冷酷で謎に包まれた女として登場し、王宮の裏で誰かのために密かに動く影の存在として描かれていました。
どこか悲しげな瞳が印象的で、「ただの悪女ではない」と感じていた視聴者も多かったはず。
私も最初から何か“裏がある”と勘づいていました。
表向きの顔:権力者に仕える冷徹な女
ミリョンは権力者パク・ジュンギの側近として登場します。
人を操るような冷静な態度や、誰よりも先を読む鋭い視線からは、一見すると自己利益だけを求めているように見えました。
しかし、その行動の裏には「ある人物を守るため」という明確な目的が隠されていたのです。
彼女が危険を承知で王命に背いたり、情報を改ざんしてまで動いた理由。
それは“血のつながり”にありました。
本当の正体:ユンギョムの実の妹
物語終盤で明らかになる衝撃の事実――ミリョンはユンギョムの実の妹だったのです。
幼いころ、政変に巻き込まれて家族を離れ離れにされ、奴婢身分に落とされたクドクとは違い、ミリョンは貴族に養われて育ちました。
しかし、その養家も一枚岩ではなく、彼女は大人になるまでずっと「誰かのために犠牲になる」環境で生きてきます。
そんな人生を経て、兄ユンギョムの存在を知ったミリョンは、彼を守るために敵側──つまり王の側近組織へと潜入したのです。
兄への複雑な愛と罪の意識
ミリョンには“兄を守りたかった”という愛情と同時に、“兄を苦しませてしまった”という罪悪感もありました。
クドクとスンフィが真実を明かそうとする中、ミリョンは最後まで自分の正体を打ち明けられず、ただ遠くから兄を見守ります。
最終回の直前で彼女が涙ながらに口にする一言、「兄様、どうか幸せに生きてください」。
このセリフに、すべての葛藤が込められていました。
守るための裏切りほど苦しいものはないですよね。
本当の敵ではなく「もう一人の被害者」
多くの視聴者がミリョンを“裏切り者”だと誤解していましたが、真実を知ったとき、その印象は180度変わりました。
彼女は権力に仕えながらも、自分の行動が兄やクドクの助けになるよう、常に命がけで裏で支えていたのです。
彼女の選択は間違っていたかもしれませんが、その根っこにあったのは「家族を救いたい」というひたむきな愛。
最期のシーンで、彼女がユンギョムの遺した手紙を胸に抱いて微笑む場面は、涙なしには見られませんでした。
ミリョンというキャラクターが残したもの
ミリョンは単なる脇役ではなく、“犠牲”と“赦(ゆる)し”というテーマを象徴する存在でした。
彼女の生き方は、クドクやスンフィとも通じています。
誰かを守るために偽りを背負い、苦しみながらも希望を繋ぐ。
最終的に彼女は自らの命を使って真実を世に残す選択をし、ユンギョムとクドクが「自由」と「赦し」を得るきっかけを作ります。
ミリョンの正体が“敵”から“兄のために人生を捧げた妹”へと変わる瞬間、この物語は一気に深みを増しました。
悲劇的でありながら、どこか静かに美しい――彼女の生き方には、犠牲を超えた愛の尊さが込められていたと感じます。
ハッピーエンド?それともビターエンド?
最後、クドクはスンフィと共に夢見ていた海辺の家で暮らす道を選びます。
波の音に包まれ、彼女がようやく見せた“穏やかな笑顔”。
これこそが全話を通して最も印象的なシーンでした。
ただし、そこには“愛する人を失った痛み”という影が残っています。
幸せだけでは終わらない“静かな余韻”が、このドラマの魅力を一段と深めていますね。
伏線回収の妙──「偽り」と「真実」の反転
クドクが「偽りの身分」で生き、スンフィが「偽名で身代わりになる」。
物語の核心は「誰が誰のために嘘をついたのか」というテーマにあります。
そして、最後に偽っていたのはクドクではなくスンフィの方だった──という展開で、タイトルの意味が一気に変わる。
“真実を守るための嘘”というメッセージは、現代社会にも通じるテーマです。
よくある質問
Q1:原作はあるの?
ドラマ옥씨부인전には明確な小説原作はなく、韓国の伝統文学전기소설(伝奇小説)形式をベースに、脚本家キム・ヨンウンさんが再構成したオリジナル脚本です。
Q2:イム・ジヨンさんとチュ・ヨンウさんの共演は今回が初めて?
はい。2人の共演は本作が初めてで、撮影現場では互いにリハーサルを重ねて“目だけで感情を伝える”演技法を共有したと、Kstylインタビューで語っていました(2024年12月配信)。
Q3:ロケ地はどこで撮影された?
主要ロケ地は全羅南道(チョルラナムド)の順天映画撮影所(Suncheon Open Film Set)。
韓屋の街並みが再現され、海辺のラストシーンは実際に여수(麗水)の港近くで撮影されたとのことです。
Q4:ミリョン役の俳優は誰?
ミリョンを演じたのは俳優キム・ヒョン(김현)さん。
ドラマ『還魂』にも出演していた若手注目株で、今作での冷徹と悲哀を併せ持つ演技が高評価を受けています。
まとめ
『オク氏夫人伝』は、身分差や女性の生きづらさを描くだけでなく、“真実の名を取り戻す物語”として心に残る名作でした。
クドクの「偽りの人生」は、最後には“功徳(くどく)”という本当の意味の“善行”に変わる。
タイトルに込められたこの深い象徴性こそ、韓国時代劇の醍醐味だと思います。
イム・ジヨンさんとチュ・ヨンウさんの演技が織り成す静かな奇跡。
泣けて、美しくて、忘れがたい。
もしまだ観ていないなら、夜の静かな時間にぜひ一度、心を落ち着かせて観てほしい。
きっとクドクの強さとスンフィの優しさに、あなたも惹かれてしまうはずです。