ジュノ(2PM)主演の韓国ドラマ『テプン商事』。
舞台は1997年。
韓国が“IMF危機”という歴史的な経済の嵐に巻き込まれた年です。
「当時の韓国って、そんなに大変だったの?」と思う方もいるはず。
でもその背景を知らなければ、このドラマの本当の重みに気づけません。
さあ、あの“激動の1997年”にタイムスリップ。
世界中の1997年を見てみましょう。
韓国は“絶好調”から“奈落”へ ― 1997年のIMF危機とは
1996年ごろまでの韓国は絶好調。
経済成長率は高く、若者たちは“オレンジ族(오렌지족)”と呼ばれるほど派手な消費に夢中。
外車を乗り回し、ナイトクラブで踊り明かす……まさに“バブルの申し子”たちでした。
けれど1997年、風向きが一変します。
タイから広がったアジア通貨危機が韓国にも直撃してしまったのです。
大手財閥が次々と倒産し、韓国ウォンが暴落。
国中がパニック状態に陥りました。
テレビでは経済番組が悲鳴のような報道を続け、人々は「会社が消えるなんて信じられない」と呟くばかり。
『テプン商事』の冒頭では、そんな“バブル末期の幻想”と“崩壊の予感”を鮮やかに描いています。
カン・テプン(ジュノ)もその中を奔走する1人。
夜のクラブで豪快にシャンパンを開けるシーンは、まさにオレンジ族の象徴…でも翌日には会社倒産の噂が飛び交う。
落差がリアルすぎて背筋がヒヤッとしましたね。
再生への希望 ― 金大中大統領と国民の団結
1997年12月、金大中(キム・デジュン)が新大統領に就任。
彼が打ち出した経済改革によって、韓国は徐々にV字回復へ向かいます。
印象的なのが“金の指輪運動”。
国民が自発的に金製品を政府へ差し出し、外貨返済に充てました。
このシーンは「財閥家の末息子」でも描かれています。
「自分たちの手で国を助ける」という意識が国中に広がり、涙なしには語れないエピソードとして今も語り継がれています。
ドラマの中でオ・ミソン(キム・ミンハ)が見せる“強く賢い女性像”は、まさにそんな時代を支えた無数の現実の女性たちの象徴と言えるでしょう。
日本も“倒れる年”だった ― 漢字は「倒」
さて、日本も同じ1997年、経済的には大きく揺れていました。
この年の「今年の漢字」は“倒”。
山一證券、北海道拓殖銀行などの破綻が相次ぎ、ニュースで「社員は悪くありません」という涙の会見が全国を涙させました。
消費税も3%から5%にアップし、景気はどん底。
街には「就職氷河期」という言葉が生まれ、未来に不安を抱える若者が増えた年でもあります。
まさに日本も、韓国と同じく岐路に立たされていました。
【1997年・日本の10大ニュース】
- 山一證券、北海道拓殖銀行が相次いで破綻し金融危機(11月)
- 神戸連続児童殺傷事件、14歳少年を逮捕(6月)
- 第一勧銀・四大証券首脳ら“総会屋事件”で逮捕(5月)
- 行政改革会議、「1府12省庁」へ最終報告(12月)
- 消費税5%へ引き上げ(4月)
- サッカー日本代表、初のW杯本大会出場決定(11月)
- 東海村で核燃料加工施設爆発事故(3月)
- 橋本内閣改造で支持率急降下(9月)
- 日米防衛協力ガイドライン決定(9月)
- ロシアのタンカー重油流出、日本海沿岸を汚染(1月)
1997年(平成9年)新商品・ヒット商品
プリウス(トヨタ)
メモリースティック(ソニー)
テレビ WEGA(ソニー)
ビオレメイク落としふくだけコットン(花王)
ハイパーヨーヨー
アサヒ・スーパードライ
キシリトール(ロッテ)
1997年(平成9年)流行語
失楽園 (小説失楽園から不倫の意味で使われた)
チャイドル (チャイルド+アイドル)
ビジュアル系 (派手なメークによってブレイクしたバンド)
1997年(平成9年)ベストセラー
ビストロ・スマップ完全レシピ
永遠の法(大川隆法)
失楽園上・下(渡辺淳一)
母の詩(池田大作)
鉄道員(ぽっぽや)
ももこの世界あっちこっちめぐり(さくら・ももこ)
経済も社会も政治も揺れっぱなし。
けれど“W杯出場”という明るいニュースも!
このギャップ、あれからもう30年近くたちますが40歳以上の日本人なら誰もが覚えているのではないでしょうか?
世界も波乱だらけ ― 激動の地球1997
1997年は、韓国や日本だけでなく世界規模で激動の年でした。
ニュースを追うと、まるで“歴史の転換期”が一気に押し寄せたようです。
- ペルー日本大使公邸人質事件(4月)
- 香港が中国に返還され「一国二制度」スタート(7月)
- ダイアナ元皇太子妃が交通事故死(8月)
- 中国の最高実力者・鄧小平氏が死去(2月)
- アジア通貨危機でIMFが韓国などを支援(12月)
- 金正日が朝鮮労働党総書記に就任(10月)
- 韓国大統領選で金大中が勝利(12月)
- 米株ダウ平均8000ドル突破、好景気続く米国
- 北朝鮮・黄長ヨプ書記が北京で亡命申請(2月)
- エジプト・ルクソール観光地テロで邦人ら62人死亡(11月)
世界の秩序が変動し、新しい世紀への胎動が見え始めていた時代。
『テプン商事』の制作者が1997年を選んだのは、そんな“時代の分かれ道”を描きたかったからかもしれませんね。
よくある質問
Q1:IMF危機ってなに?
A:韓国が外貨不足に陥り、国の経済が“破産状態”に近づいた事件。国際通貨基金(IMF)の支援を受け、厳しい改革を迫られました。
Q2:『テプン商事』は実話なの?
A:フィクションですが、描かれる状況や登場人物の姿には“97年当時の社会現実”が強く反映されています。
Q3:オレンジ族ってどんな人たち?
A:ソウルの高級エリアでブランドや外車を楽しむ裕福な若者たち。まさに“夜の江南の象徴”でした。
Q4:日本の「倒産ラッシュ」と韓国の危機は関係ある?
A:直接の関係はありませんが、どちらも過剰投資・金融不安という“バブルの後遺症”に苦しんでいました。
まとめ ― 世界が一斉に“転んで”“立ち上がった年”
1997年は、国が、企業が、人が――立て続けに倒れた年。
でも、“倒れる”の次には“立ち上がる”しかない。
韓国はIMF危機を乗り越えてアジア有数の経済国に、日本も長い冬を超えて新しい時代へと進んでいきました。
『テプン商事』に描かれるあの時代は、ただの過去じゃなく、生き抜く力を思い出させてくれる“再生の物語”。
ジュノさんの熱演に「そうだった!あの頃、みんな必死だった」と感じる人は多いはずです。
1997年――それは“痛み”と“希望”が同居した、忘れられない一年でした。

