「スタートアップ(原題:스타트업)」を観終えたあと、胸の奥が少しチクッと痛みませんでしたか?
ペ・スジさん、ナム・ジュヒョクさん、キム・ソノさんという黄金トリオが描いた青春と恋、そして夢の物語。
けれどSNSでも「なぜ2番手が報われないの!? 」と嘆く声が相次ぎました。
起業×恋愛という新しいテーマを掲げたこのドラマ、評価が分かれる理由を、じっくり振り返っていきたいと思います。
あらすじと魅力ポイント
起業を夢見る若者たちの群像劇
主人公ソ・ダルミ(スジ)は、父を事故で亡くしながらも祖母に支えられ、いつか「成功したい」と強く願う女性。
一方、彼女に秘密の手紙を送り続けていたのが、青年ハン・ジピョン(キム・ソノ)。
彼は孤児院出身で心を閉ざした青年ですが、ダルミを思うその手紙には“ナム・ドサン”という別人の名を書いていたんです。
その“偽装ナム・ドサン”こと本物のナム・ドサン(ナム・ジュヒョク)は、数学の天才。
けれど現実の事業では失敗続き。
そんな3人が15年後、「サンドボックス」という韓国版シリコンバレーのような起業支援施設で再会します。
ここから恋と夢、そして「自分とは何者か」を問う物語が始まるんです。
心に刺さる“二番手愛されキャラ”ジピョン
正直なところ、序盤はジピョン派の人、多かったのでは?
私も完全にその一人でした。
ぶっきらぼうなのに、実は誰よりも誠実。
祖母を想い、陰でダルミを支える姿には何度も胸が熱くなりました。
「この人、幸せになってほしい」と願わずにいられません。
だけど――物語が進むほど、ジピョンは感情を押し殺し続け、想いを伝えられないまま。
その“報われなさ”が、このドラマの切なさの源でした。
一方で成長していくナム・ドサン
対照的に、ナム・ドサンは後半にかけてどんどん変化します。
最初は頼りなく感じる青年が、ダルミとの出会いを機に積極的で頼もしい姿に。
第12話あたりからは急に“男の顔”になり、視聴者の間でも「ドサン派」に乗り換える人が急増しました。
この変化が見事で、「成長の物語」としてもぐっと引き込まれます。
ドラマのテーマとメッセージ
スタートアップの現実をリアルに描いた
韓国の起業支援施設「サンドボックス」は実在する若者支援政策をモチーフにしています。
Kstylのインタビュー(2021年3月放送回より)でも、制作陣は「夢という言葉を簡単に使いたくなかった」と語っていました。
成功の裏には孤独、失敗、そして家族との葛藤がある——。
この現実的な視点が、他の青春ロマンスとは一線を画しています。
「夢と愛、どちらを選ぶ?」の究極テーマ
ストーリーの軸は恋愛だけでなく、“夢を追いながら愛を守れるか”という究極の選択。
ダルミがCEOとして成功していく姿には、女性の自立というメッセージも込められていました。
ただし恋愛観については視聴者の解釈が大きく分かれ、“ジピョンが報われないエンディング”に複雑な思いを抱いた人も多かったようです。
視聴者のリアルな声から見る評価
- 「ナム・ジュヒョクが最高」(2025年Naverドラマレビューより)
→理系男子からCEOへ… 成長過程が自然で魅力的だったとの声。 - 「ジピョンの方が報われてほしかった」(tvN公式YouTubeコメントより)
→ 優しさが裏目に出る彼の姿に涙する視聴者が続出。 - 「スジの演技が復活した」(朝鮮日報のレビューより)
→ 『アンナ』後のイメージを覆すハツラツとした演技が高評価。 - 「後半のテンポが良くなった」
→ 前半の恋愛と、後半の事業パートのバランスが絶妙だったという声も。
ただ、一部では「序盤が少し退屈」「母や姉の描写が薄い」との指摘もあり、完璧とは言えなかったのが正直なところです。
よくある質問(本文未掲載)
Q1:なぜタイトルが스타트업(スタートアップ)なの?
A:主人公たちの「人生再スタート」を象徴しています。
単に“起業”だけでなく、“過去の自分からの再起”という意味も込められています。
Q2:モデルになった会社や人物はいる?
A:韓国中小ベンチャー企業部による「Startup Campus」が参考にされており、実際の起業支援プログラム「TIPS(Tech Incubator Program for Startup Korea)」もドラマ制作参考になったとtvNインタビューで明かされています。
Q3:なぜ2番手ジピョンは報われなかったの?
A:脚本家パク・ヘリョンさん(『あなたが眠っている間に』)は、「恋は勝ち負けではなく、成長の過程を描きたかった」と語っています(引用元:KBS『ドラマトーク』2020年11月放送)。
まとめ
「スタートアップ」は単なる恋愛ドラマではありません。
努力しても報われないことがある。
けれど、自分を信じ続ければ道は開ける——そんなリアルな青春の苦味を描いた作品です。
ナム・ジュヒョクさんの繊細な表情、キム・ソノさんの優しい視線、スジさんの芯の強さ。
三人が揃ったとき、ドラマは何倍も輝きました。
個人的には、ハン・ジピョンの「静かな愛」がこのドラマの真骨頂だったと思います。
報われなかったけれど、確かに誰かの心には届いていた。
そう思うだけで、もう一度彼らに会いたくなってしまうんです。