1997年のソウルを舞台に、IMF危機の真っ只中で生きる人々を描いたNetflix『テプン商事』。
“時代を感じるリアルな街並み”が「懐かしい!」と話題になっていますが、その秘密はロケ地選びの巧妙さ。スタッフが実際に韓国各地を歩き回って、90年代の風景が残る場所を探し当てたそうです。
では早速、撮影に使われたリアルな街並みをのぞいてみましょう!
サリジェ峠(仁川広域市)― テプン商事の本社ビルはここ!
『テプン商事』のオフィスの舞台として登場するのが、仁川広域市のサリジェ峠。
劇中では「ソウル・乙支路4街にある会社」という設定ですが、実際に撮影されたのは仁川の丘陵地にある“サリジェ峠”なんです。
もともとは耳鼻咽喉科だった建物をリノベーションしたカフェ「Brown Hands」がそのロケ地。

黄色いレンガ造りの外観はどこか懐かしく、90年代の“バブルの名残”を感じさせる雰囲気ですね。
内部は当時の事務所をイメージして、分厚い木のデスクやブラウン管モニターが置かれ、撮影スタッフによる徹底した再現力が光ります。
このサリジェ峠は、明治期の開港以降「京城通り」と呼ばれ、商業の中心として発展した歴史ある通り。
ドラマではそこに、中小企業がひしめき合っていた1990年代の息づかいを重ね合わせています。

現在は“ニュートロブーム(新レトロ)”の火付け役としてリノベカフェや雑貨屋が人気を集めているスポットなのだとか。
パク・ボゴムさん主演ドラマ『ボーイフレンド』でも使われていたそうです。
ちなみにドラマの会社の看板はCGとの噂もありますが、建物自体は実物を利用しているとのこと。
俳優たちが出入りするシーンでしっかり写っており、リアル感が増していますね。
交通は東仁川駅から近いものの、仁川空港から地下鉄だと1時間20分ほどかかる場所で、車移動推奨です。
「薔薇の温室」は若い農民が作った農場カフェ

ドラマ第1話でテプン(ジュノ)が訪れる「薔薇の温室」は、경기도 화성시에ある「thefore_4 더포레 베이커리」というベーカリーカフェ。
カフェ、ブラウンハンズ開港路
(인천 중구 개항로 73-1、仁川広域市中区開港路73-1)
ここは若い方が切り盛りする農場カフェで、赤やピンクのバラがInstagram映えすると話題です。
狎鴎亭・清潭洞(アックジョン・チョンダムドン)― “オレンジ族”の聖地
ジュノ演じるカン・テプンが夜な夜な遊び歩くシーンが撮影されたのが、ソウル・狎鴎亭(アックジョン)と清潭洞(チョンダムドン)エリア。
ここはまさに90年代のトレンドの発信地。ブランドショップが並び、外車が行き交う華やかな夜の街として知られていました。
ドラマでは「アプストリート・ボーイズ」と呼ばれる仲間たちと、当時の音楽・ファッション文化が濃厚に再現されています。
照明を抑えたクラブ内のセットや、当時流行した“ネオンサイン”看板、ベルベットのカーテンなど、細部まで90年代仕様。
音楽監督は実際に当時のソウル・クラブシーンを取材してサウンドを再現したと明かしています(tvNドキュメント映像より)。
九老区(クロ)― 会社員たちの“リアルな生活圏”
制作発表会が開かれたソウル九老区(クロ)は、ドラマの舞台設定としても重要。
当時この地域には、輸出産業を担う企業が多く立ち並び、まさに“勤め人の街”でした。
街角に漂う鉄と油の匂い、古い商店のネオンサイン、働く人々の息づかい。
ドラマではそこを背景に、テプンたちが“ビジネスマンの戦場”で奮闘する姿が描かれています。
ロケ裏話 ― “レンガの町で繰り広げられた熱演”
撮影現場ではジュノさんがよくカフェ周辺で地元の人と交流していたそうです。
また夜のシーン撮影では、俳優陣が寒さに震えながらも「97年の冬を思い出しながらやっているようで不思議」と話していたとメイキングで明かされています。
衣装チームは「ロケ地の赤レンガと俳優のスーツが一体化する“光のトーン”を意識した」とコメントしていました。
よくある質問
Q1:サリジェ峠って観光できる?
A:もちろん可能です。現在は「Brown Hands Cafe」として一般営業中。地元のニュートロ系フォトスポットとして人気です。
Q2:ロケ地巡りツアーはある?
A:仁川文化財団と連携した「韓ドラロケ地ウォークツアー」に、『テプン商事』ロケ地も追加予定だそうです。
Q3:90年代当時の景観はまだ残ってる?
A:狎鴎亭・清潭洞周辺は再開発が進んでいますが、仁川サリジェ峠や九老区の一部には“当時の路地文化”が色濃く残っています。
まとめ ― “街そのものがタイムマシン”
『テプン商事』は、物語だけでなく街並みまでもが“タイムトラベル装置”のよう。
仁川のレンガ坂、アックジョンのクラブ街、九老区の工業地帯…どの場所も“1997年の匂い”が見事に再現されています。
現場の空気がそのままドラマに閉じ込められているからこそ、視聴者は“あの時代を生きていた感覚”を自然に味わえる。
ジュノさんたちの演技も、そのリアルな空気に後押しされているのかもしれません。
90年代のソウルを歩いたことがある人ならきっと、「あ、ここ見覚えある!」と胸が熱くなるはずです。
そう感じさせるロケ地選びが、『テプン商事』最大の魅力ですね。

