「ソウルの家から」離脱寸前の理由は?第3話時点の感想!
このドラマのタイトル、「ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語」以下「ソウルの家から」は、ちょっとほのぼのするヒューマンドラマかな?なんて思いますよね。
ところがフタを開けてみると、「なんてヤツだ!」「離脱寸前!」と感じる、かなり胃がキリキリする系のドラマでした。
この記事では、あの長いタイトルの離脱寸前ポイントと、それでも最後まで観ようと思わせる理由を、視聴者の本音レビューもまじえながらまとめていきます。
キャスト情報も整理してあるので、「あの役者さんどこで見た?」という方も、合わせてチェックしてみてくださいね。
「ソウルの家から」基本情報

まず、作品の基本情報からさらっと整理しておきます。
- 原題:서울자가에대기업다니는김부장이야기
- 邦題:ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語
- 英題:The Dream Life of Mr. Kim
- 放送局:JTBC(韓国)
- 韓国放送開始:2025年10月25日(土)
- 日本配信:Netflix(2025年10月26日〜、独占配信)
原作は、もともと韓国の個人ブログで始まった連載が大反響を呼び、その後ウェブ小説・ウェブ漫画とメディアミックス展開された人気作です。
ブログ発の原作ということで、いわゆる「現場のリアル」「生活の肌感」がかなり強く反映されていると言われています。
ざっくりあらすじと「離脱ポイント」
まずは、ストーリーの大枠を簡単に。
- キム・ナクス(リュ・スンリョン)は、韓国大手通信会社「ACT」の営業1チーム部長。
- 勤続25年、自宅はソウル近郊に持ち家、妻と大学生の息子と暮らす“絵に描いたような勝ち組サラリーマン”。
- ところが、社内では若手中心の流れに押されて徐々に発言権を失い、家でも妻・息子と価値観のズレが広がって孤立。
- 極端なプライドと出世欲、古い家父長的価値観が自爆を呼び、職場でも家庭でも追い詰められていく。
- そんな彼が「どん底」の中で、ようやく自分の本音と向き合い、プライドの鎧を脱ぎ捨てていくという「人生再生もの」の物語です。
ここまで聞くと王道の「中年サラリーマン再生ドラマ」ですが……。
実際に見た人たちからは、こんな声が出ています。
「なんてヤツだ!見るのやめよっと思ったのに最後まで見てしまった」
「大企業に勤めたわりに主人公がアホすぎて呆れる」
「序盤、周囲の仕打ちが酷すぎて離脱しそうになった」
このあたりが、まさに“離脱寸前の理由”ですよね。
「ソウルの家から」離脱寸前の理由は?

筆者は現在第3話を観終わったところです。
もうキム部長が大っ嫌いでイライラしています。
ただこのドラマは視聴率が初回2.9%から3話3.5%とめちゃくちゃ低く後半最高7.6%まで急上昇したとのこと!
Netflixでは第4話で韓国1位になったと言われているためここまでは前振りでここからなのかな?とも思っています。
スカッとするシーンを観たいのでまだ離脱はしませんが、ここまで観てどんな点が嫌だったのか見てください。
離脱寸前の理由① 主人公キム部長が「ウザすぎる」

まず一番大きいのは、主人公キム・ナクスのキャラ設定です。
- モラハラ・パワハラ体質の「老害上司」
- 部下への説教はいつも「昔はな…」「俺が若い頃は…」
- コミュ力はほぼゼロ、時代感覚もアップデートされていない
- 大学生の息子にも、自分の成功哲学を一方的に押しつける
視聴者レビューの中には、
「リアル60代オッチャン、元(不当解雇)サラリーマンには刺さらんわな!そこまでアホ違うで!」
という辛口コメントもありました。
現場をくぐってきたリアル世代からすると、「いくらなんでも、こんなに自覚ゼロの部長いる?」と、逆に冷めてしまう部分がありそうです。
ただ、ここは制作陣もかなり意図的に「振り切って」いる感じがします。
リュ・スンリョンの演技も、序盤はほとんどコント寸前なくらい大げさで、わざとウザく見せています。
- 眉間にシワを寄せて怒鳴り散らす
- どう見ても的外れな自信満々のプレゼン
- 部下のSOSを全部「根性論」でねじ伏せる
こういう極端な描き方をしておいて、そこから少しずつ「鎧が剥がれていく」過程を見せる、という構成なのでしょう。
そうならなかったら、視聴者はこれまでのイライラをどこにぶつけたらいいのかわからなくなります。
離脱寸前の理由② 周囲の仕打ちがキツすぎる

もう一つ、多くの人が「キツい」と感じたのが、ナクスを取り巻く環境。
- 会社では、営業2チーム部長ト・ジヌ(イ・シンギ)との露骨な出世争い
- 若手社員たちは、ナクスの古臭いやり方に冷めた目線
- SNS上では、人気動画配信者「ITボーイ」(イ・サンジン)がACTのサービスを「詐欺だ」と炎上させる
- 家では、妻ハジン(ミョン・セビン)とのすれ違い、息子スギョム(チャ・ガンユン)の反発
視聴者の声にも、
「序盤、周囲の仕打ちが酷すぎて離脱しそうになった」
という感想がありました。
たしかに序盤は、「誰も味方がいないじゃん…」というくらい、ひたすらナクスに試練が降りかかります。
とはいえキム部長の自業自得という点もあります。
営業2チーム部長ト・ジヌ(イ・シンギ)にしてもキム部長に対する露骨にバカにした態度は許せません。
しかし、もしも私だったとしてもキム部長をそんな目で見たくなります。
さらに部下の出来が悪く、誰一人として仕事をまともにできないのです。
ここは、韓国ドラマ特有の「ジェットコースター式展開」の一種なのでしょう。
あえて徹底的に落としておくことで、中盤以降の持ち直しが際立つように作られていると信じたいです。
離脱寸前の理由③ 家族描写の「理想と現実」

このドラマで物議を醸しているのが、妻・パク・ハジンです。
視聴者レビューでは、かなり両極端。
- 「奥さんが出来すぎててこりゃ無いわ〜と思った」
- 「普通の人なら三下り半叩きつけられてもおかしくないことやってるのに、いっしょに涙し、叱咤激励して抱きしめてくれる妻」
たしかにハジンは、現実にはなかなか存在しないレベルの聖母系ヒロインに近い描き方をされています。
- 夫のダメさには傷つきつつも、見捨てない
- 息子と夫がぶつかっても、どちらか一方に寄りすぎない絶妙なバランス
- キム部長が本当に折れそうな瞬間に、さりげなく背中を押す
正直、私は最初見たとき、「いや、こんなできた奥さんそうそういないよね…」と感じました。
その一方で、ここに物語としての救いを求めている視聴者も多いんだろうな、とも思います。
家族ドラマはドキュメンタリーではないので、「現実そのまま」だと本当に救いがなくなってしまいます。
ハジンというキャラは、現実にはなかなかいないけれど、いてほしい理想の伴侶像として、物語を支える大黒柱になっています。
ただ、キム部長とハジンが初めて会ったシーン。
二人ともたぶん20代のテイなのでしょうが、老けてて「これもわざとかな?」なんて思いました。
若作りをしているつもりでしょうがどう見ても40代か50代に見えます。
④誰一人として好きになれない!

レビューの中で、印象的だったのがこの一文です。
「誰1人魅力的な人がいないドラマも珍しい」
普通の韓国ドラマだと、
- めちゃくちゃ有能で格好いい上司
- どこまでも優しい彼氏
- ヒロインの親友ポジの“癒しキャラ”
みたいな、「推しやすい存在」が少なくとも1人は用意されていますよね。
会社関係の人たちも感じ悪いのですが、ハジンの妹夫婦もどこどなく胡散臭いです。
でも、このドラマはかなり徹底して、その“逃げ道”を用意していません。
あえて言うなら、
- 妻ハジン
- 息子スギョム
あたりが救いのポジションですが、それでも完璧な聖人ではなく、それぞれの限界や弱さも持っています。
これは多分、「現実の人生には、ドラマみたいなヒーローってそうそういないよね?」という、ことを言いたいのかなと思いました。
その分、視聴体験としては重たくなるので、「しんどい」「誰にもハマれない」という声が出るのも、すごくわかります。
ところでハジンの妹・ハヨンを演じているのは「紳士とお嬢さん」のダンダンだったイ・セヒ。
はじめ見たときイメージが変わったので誰だかわかりませんでした。
それでも最後まで観てみようと思わされる理由
① リュ・スンリョンの「ウザさ」と「哀愁」

離脱寸前だと嘆かれながらも、「最後まで観てみよう」と思わされるのは、やはり主演・リュ・スンリョンの力が大きいと感じます。
代表作は、
- ムービング(Disney+)
- キングダム
- 星から来たあなた
- タッカンジョン
- パイン ならず者たち
など、シリアスからコメディまで幅広い作品で活躍してきた演技職人です。
視聴者レビューでも、
「リュ・スンリョンさんのチャーミングかつ哀愁漂う素晴らしい芝居で、どんどんのめり込んでいった」
「振り切ったウザ上司演技は必見で、部下との温度差がなんとも滑稽で笑えた」
という声が上がっています。
序盤の「超ウザい老害上司」から、中盤で一気に崩れ、終盤で人間らしい弱さと優しさがにじみ出てくるとのこと。
ここがきれいにつながるからこそ、視聴者も「ああ、最初からここまで見せるためだったのか」と腑に落ちるのでしょう。
② 兄・キム・チャンス役コ・チャンソクが出てる

個人的に、このドラマを最後まで観たい理由は、ナクスと兄・キム・チャンス役にコ・チャンソクが出てるからです。
兄について調査すると下記の通りになります。
- 自動車整備工場「スピードメイト」を営む兄
- 学歴も肩書きもないけれど、仕事には誠実で、周囲から信頼されている
- 一方で、ナクスは兄とは違う人生を歩みたいと、必死に大企業にしがみついてきた
視聴者の感想にも、
「キム部長のコンプレックスと虚栄心とプライドの根源となった、お兄さんとの関係がよかった」
「一番良かったのはお兄さんの店での二人のシーン」
というコメントがありました。
小学生のころ副委員長に選ばれ走って帰ってきて母親に「副委員長になったよ」と笑顔で報告したナクスに兄は鼻で笑ってお肉を食べてました。
ここが、ナクスの人生の「原点」と「コンプレックス」の両方になっていたようです。
- 兄のようになりたくないという反発
- でも、心のどこかでは兄を尊敬している
- 自分が失敗した時に、最後に戻って来られる場所でもある
そんな存在の兄との関わりが今後見られると期待しています。
③ 「自分もやってるかも」自己反省

このドラマは見ているとところどころで胸がチクっと痛むポイントがあります。
視聴者のコメントで、
「自業自得というか、全ては自分が招いてるんだなと再認識させられる」
「結局は自分に合ったことをしている時が一番幸せなんだなと」
という感想がありました。
ナクスのやっていることは、たしかに極端で、ばかげています。
ただ、けっこう身近な人もやらかしているような内容です。
- 部下のミスを「お前の努力が足りない」で片づけてしまう
- 家族の話をちゃんと聞かない
- 世間体と肩書きにしがみついている
こういう小さな積み重ねが、結局自分を追い詰めていることに気が付かないのです。
私は主婦なのでキム部長の妻ハジンの言動が気になりました。
言いたいことも言わず夫とけんかすることを恐れて善人になっている姿。
息子に「お父さんをあんな風にしてしまったのは私」と自覚があるのに笑ってるなんて、怖いです。
その内、精神的に自滅するのでは?なんて心配になりました。
中年の精神的な危機には下記のような症例があります。
- 「バーンアウト」(燃え尽き症候群)
- 「中年の危機」(ミッドライフ・クライシス)
「心の健康」について考えさせられる部分も視聴がやめられない理由の一つです。
キム部長は本当に「アホ」なのか?
辛口レビューで、
「大企業に勤めたわりに主人公がアホすぎて呆れる」
という言葉が出てきました。
正直、私も同感です。
ただ、きっと中盤ごろには「アホ」というよりは、
- 同じ価値観に25年間しがみついてきた結果、変化に対応できなくなってしまった
- 傷つくのが怖くて、本音や弱さを一切見せないまま、ここまで来てしまった
このようなことに気がつくのだろうなと希望しています。
よく言われる「心理的防衛機制」でいうと、
- 「合理化」:うまくいかない原因を全部“時代”や“若者”のせいにする
- 「投影」:自分の不安を、部下や息子に押しつけてしまう
こういう防衛がフル稼働している第3話までのキム・ナクス部長。
ナクスは、たしかにアホな行動をたくさんします。
でもここからきっと視聴者も納得の行動をしていってくれると期待しています。
キャストと注目の脇役たち
ざっとおさらいも兼ねて、主要キャストと「ここが見どころ」というポイントだけピックアップしておきます。
キム・ナクス役:リュ・スンリョン
- 大企業「ACT」営業1チームの部長。勤続25年。
- 極度のプライドと出世欲を持つが、内面は不安だらけ。
- 代表作:「ムービング」「キングダム」「星から来たあなた」ほか
演技の振り幅がとにかく大きくて、ウザさと哀愁の両立が見事です。
パク・ハジン役:ミョン・セビン

- ナクスの妻。
- 現実的で冷静だけど、芯はとてもあたたかい。
- 代表作:「医師チャ・ジョンスク」「ポッサム」「キルミー・ヒールミー」など
「出来すぎ」と言われるほどの“理想の妻”像ですが、ミョン・セビンの落ち着いた演技が、そのキャラをなんとか現実の地平につなぎとめています。
キム・スギョム(息子)役:チャ・ガンユン

- ナクスとハジンの一人息子で大学生。
- 父の古い価値観に反発しながら、恋愛や将来に迷う若者。
- 代表作:「巫女と彦星」「いつかは賢いレジデント生活」「交渉の技術」など
「あの女の子にそんな惹かれる?」という視聴者の疑問もありましたが(笑)、若さゆえのまっすぐさと危うさがよく出ています。
チョン・ウンチェ:ホ・ナムジュン ほか

- チョン・ウンチェ:牙山工場の班長イ・ジュヨン役(特別出演)。
「ジョンニョン:スター誕生」「ザ・キング:永遠の君主」などで存在感のある女優さん。 - ホ・ナムジュン:精神科医ナ・デリョン役。
「婚礼大捷」「スノードロップ」などに出演。
このあたりの通好みの脇役陣が、いい仕事をしています。
「家父長制ドラマ」への違和感と、それでも残る余韻
レビューの中に、
「はじめは家父長制すぎて好きになれなかった」
という声がありました。
これは、特に日本や韓国の若い視聴者にとって、大きな違和感のポイントかもしれません。
- 夫が「家長」としてふるまう
- 妻は一歩引きつつ、家庭を支える
- 子どもは親に反発しながらも、どこかで従う
いわゆる“古い家族像”ですよね。
このドラマは、その古いスタイルを「そのまま肯定」しているわけではなく、むしろ“限界”を描いている側面が強いです。
ナクスが変わっていくことで、
- 家族の力関係が少しずつフラットになっていく
- 「父だからこうあるべき」「部長だからこうあるべき」という呪いが、ゆっくりほどけていく
このプロセスこそが、実は物語の一番の核なんだろうなと感じました。
最後の方は、視聴者の言葉を借りると、
「心にじんわりと沁みるヒューマンドラマ」
として、ちゃんと着地してくれます。
途中何度も「うわ、しんどい」と感じつつも、見終わったあとに残るのは、不思議な温かさなのだそうです。
まとめ:離脱寸前でも最後まで見てしまうドラマ
あらためて、「離脱寸前の理由」と「それでも完走してしまう理由」を整理してみると、こんな感じになります。
- 序盤は
- 主人公のウザさ
- 周囲の仕打ちのキツさ
- 理想化された妻像への違和感
→ ここで一度「やめようかな」となる視聴者が多い
- でも中盤〜終盤で
- キム部長の“鎧がはがれていく過程”
- 兄との関係の掘り下げ
- 家族それぞれの立場の見え方の変化
- リュ・スンリョンのチャーミングな哀愁
→ 「なんだかんだ言って、見てよかった」と感じる人も多い
個人的には、「大企業」「持ち家」「部長職」という、表面的な成功の象徴が、1つずつ意味を失っていく過程が一番印象に残りました。
最終的にナクスが選ぶのは、大企業の部長としての夢ではなく、「自分に合ったサイズの幸せ」なんですよね。
今、仕事や家族のことでモヤモヤしているミドル世代には、刺さる人と刺さらない人が、極端に分かれる作品だと思います。
ただ、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、ナクスの姿にどこかで自分を重ねてしまって、ちょっとだけヒヤッとするかもしれません。