韓国ドラマを観ていると、ふと「え、またこのハラボジ(おじいさん)!?」ってツッコミたくなりませんか?
どの作品でもお馴染みの顔ぶれが並びます。
財閥の会長、漁村のトッポギ屋、田舎の世話焼きグランパ。
もう、彼らが出てこないドラマなんて考えられません!
でも実際のところ、韓国ドラマのハラボジ役ってほんの10人前後で回してるなんて噂、あながち冗談でもないんです。
今回はその“おじいさん界のオールスター”を愛を持ってご紹介します。
韓ドラ界「ハラボジ(おじいさん)役」は固定メンバー!?
韓国ドラマのキャスティングを見ていると、ベテラン俳優の顔ぶれがほぼ固定。
業界では「彼が出ると作品が締まる」と言われるほど、キャリアも信頼も抜群な人たちです。
では、さっそく“常連ハラボジ”ラインナップを見ていきましょう。

①イ・スンジェ

イ・スンジェさんは1934年10月10日生まれで、韓国の演劇界とドラマ界を長く支える大御所俳優です。
代表的なドラマ出演作は『ホジュン~宮廷医官への道~』や『商道-サンド-』『英雄時代』『不滅の李舜臣』『イ・サン』といった歴史ドラマから、『トドソソララソ』(2020年 Netflix)ではキム・マンボク役として存在感を見せました。
さらに『赤い袖先』(2021-2022年 MBC)、『アゲイン・マイ・ライフ~巨悪に挑む検事~』(2022年 SBS)で、『シークレット・ファミリー』(2023年 tvN)など最新作にも精力的に出演しています。
90という年齢でも、衰えを知らないイ・スンジェさん。
旅バラエティ「花よりおじいさん」では共演者を置いてきぼりにして一人で先頭を歩いていましたね。

間違った道でも気にせずゴール(ホテル等の目的地)を目指して歩く姿はまるで若者のようにキラキラ輝いていました。
そんな彼の演技は、ただの年長者役を超え、作品に深みと説得力を与えるリアルな“ハラボジ”(おじいさん)として絶大な支持を集めています。
これだけ長く活躍し続けているのも、彼の若さと人間味あふれる魅力のなせる技と言えるでしょう。
②パク・イングァン

彼は1945年1月6日生まれで、忠清北道清原出身の韓国のベテラン俳優です。
中央大学校演劇映画科を卒業し、1967年に劇団「架橋」に入団して演劇デビューしました。
テレビドラマには1970年の『壬辰の乱』で初出演。
1991年の『黎明の瞳』で日本兵役をこなすなど、多彩な役柄を演じています。
特に温かみのある父親や師匠役を得意とし、『がんばれ!クムスン』では舅役として日本でも知名度を上げました。
『ナビレラ〜それでも蝶は舞う〜』でバレエダンサー役に挑戦した意欲的なハラボジです。
③シン・グ

1936年8月13日生まれのシン・グさんは、韓国演劇界を支える大ベテランの俳優です。1
962年に舞台「牛」でデビューし、その後KBSの公採タレントとして放送界でも活躍の場を広げました。
温かい人柄と礼儀正しい振る舞いは業界内外で高く評価され、2010年には文化勲章も受章しています。
彼の代表作には『ありがとうございます』でのイ・ビョングク役、『サンドゥ、学校へ行こう』のソン・ジョンドゥ役、『愛の挨拶』のクォン教授役、『ごめん、愛してる』のミン・ヒョンソク役、そして韓国現代史を背景にした『ソウル1945』などがあります。
どの作品でも父親や祖父、教授や会長といった重厚な人物像を演じ、その落ち着きと深みのある演技で視聴者に安心感を与えています。
またバラエティ番組『花よりおじいさん』で見せる素顔は仲間想いのリーダーであり、そんなギャップもファンの心を掴んでやみません。
シン・グさんはナ・ヨンソクPDのもう一つの大ヒットバラエティ番組「ユン食堂シリーズ」にも出演しており、インドネシアのギリ島で若い人たちよりも張り切って働いていました。

温かくも優しい人情味を帯びた人柄が彼の魅力です。
シン・グさんこそ、韓国ドラマ界の“癒し系大御所”と言っていいでしょう。
④ペク・イルソプ

ペク・イルソプさんは1944年6月10日生まれで、韓国の俳優界を長年支えてきた大御所です。
見た目の穏やかさからは想像できないほど、しっかりとした自分の意見を持ち、時にはサバサバとした一面も見せる人柄が魅力となっています。
テレビ番組『花よりおじいさん』では、旅の仲間たちをユーモアと包容力で盛り上げるムードメーカーとして活躍し、多くの視聴者に愛されました。
ただ、一度だけ奥様が持たせてくれた食材が重たくて癇癪を起していましたけどね(笑)
演技の幅も広く、『結婚の女神』の父親役や、『もう我慢できない!』のファン家の家長役、『スカーレットレター』のハン・ヨンジン役、『神と呼ばれた男』のホン・ドクポ役、『烏鵲橋の兄弟たち』のファン・チャンシク役などで圧倒的な存在感を放っています。
静かながら芯の強いキャラクター演出に定評があり、作品に温かみと信頼感をもたらす、ドラマには欠かせない名優です。
彼のユーモアあふれる人柄はスクリーン越しにもしっかり伝わってきて、「わーいまたイルソプさんだ」という親近感を視聴者に与えています。
⑤イ・ドクファ

1943年3月2日生まれのイ・ドクファさんは、韓国ドラマ界のベテラン俳優として圧倒的な存在感を誇ります。
彼のキャリアは50年以上にわたり、日本の視聴者にも馴染み深い数々の代表作があります。
特に重厚な父親役やリーダー的存在を演じることが多く、その落ち着いた佇まいと温かい人情味が視聴者の心に深く染み渡るのです。
代表的な出演作には、『ホテルキング』での副会長役があり、この作品では表向きは尊敬を集めるビジネスマンながらも、実は人知れぬ黒い過去を持つ複雑なキャラクターを見事に演じました。
さらに代表的な時代劇『赤い袖先』では、朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)を演じ、その威厳と人間らしい葛藤を細やかに表現しました。
他にも『花たちの戦い〜宮廷残酷史〜』の仁祖役、『法廷プリンス イ判サ判』でのト・ジンミョン、『モンスター その愛と復讐』のファン・ジェマン役などさまざまなジャンルのドラマで活躍。
『社内お見合い』ではこんなパック姿も披露。

こうした多彩な役どころで観る者を惹きつけられるのは、単なる重厚さだけでなく、人間味溢れる演技だからこそです。
イ・ドクファさんの演技は、どこか“大人の余裕”を感じさせ、画面に映るだけで安心感を持たせます。
「父親」や「祖父」として、ただ厳しいだけでなく、包み込む優しさや、時に厳しくも愛情深い複雑な父性を演じ分けられる数少ない名優の一人と言えるでしょう。
⑥パク・グニョン

パク・グニョンさんは1940年6月7日生まれのベテラン俳優で、舞台出身から韓国ドラマ界の名脇役として知られています。
一見すると厳しく怖いイメージを持たれがちですが、実は超がつくほどの愛妻家で、家族をとても大切にする優しい性格の持ち主です。
その温かさはスクリーンにも表れており、信仰心の篤さも人柄を深めています。
そして、時には少年のように無邪気にはしゃぐかわいらしい一面もあるそうですよ。
仲間内ではムードメーカーとしても有名で、同じく大御所のイ・スンジェさんとの深い友情もよく知られています。

彼の出演作は幅広く、『伝説の魔女〜愛を届けるベーカリー〜』や『黄金の帝国』、『怪しい家政婦』、『春の輪舞曲』、『大したものだ、本当に』など、多彩なドラマで重厚な父親や会長、支える存在を演じてきました。
どの役でも大らかさと威厳を兼ね備え、作品に欠かせない味わいを添えています。
パク・グニョンさんは、ただの怖そうなおじいさん役ではなく、心から愛と絆を感じさせてくれる稀有な俳優。
韓ドラで彼を見かけたら、「またグニョンさんだ」と思いつつも、ほっこりと心が温まること間違いなしです。
⑦ハン・ジニ

ハン・ジニさんは1949年3月14日生まれで、1970年代・80年代には韓国ドラマ界のイケメン俳優として注目を集めました。
現在では祖父役や企業の社長役など大人の風格漂うキャラクターを多く演じており、『青春の記録』で演じた祖父役は特に視聴者から高く評価されました。
長年にわたりドラマや映画で存在感を放つだけでなく、現場ではスタッフや共演者への気配りが行き届いた温かな人柄でも知られています。
彼の演技は厳格な役柄から優しさ溢れるキャラクターまで幅広く、韓国ドラマの顔とも言える存在です。
代表作には歴史ドラマ『風の国』、感動作『会いたい〜I Miss You〜』、時代劇『近肖古王』、ラブロマンス『ただいま恋愛中』などがあり、それぞれで深い演技を見せています。
『風の国』のテソは『チュモン』の頃よりも一段と感じ悪い王様に仕上げてきていました。
年齢を重ねてからもなお活躍を続け、家族の絆や人間味を表現する名優として今も輝きを放ち続けています。
⑧パク・ヨンギュ

パク・ヨンギュさんは1953年10月28日生まれ、大田広域市出身の韓国を代表するベテラン俳優です。
彼の演じる役柄は、歴史劇での貫禄ある指導者や国王役が多く、その重厚な存在感はドラマに深みを与えています。
代表作としては『不滅の李舜臣』でのリーダーシップ溢れる演技、『アイリス』で見せる緊迫感あふれる役どころ、感動のホームドラマ『人生は美しい』、時代劇『鄭道伝(チョン・ドジョン)』、そして『ボスを守れ』など多岐に渡り視聴者を魅了しました。
彼の厳格なイメージの裏には、時折垣間見える温かみや人間味があり、それがまた彼の演技にリアルさと説得力を加えています。
息の長いキャリアで培った的確な感情表現と場を掌握する力は、まさに韓国ドラマ界の重鎮と称されるにふさわしい存在です。
⑨キム・ビョンギ

キム・ビョンギさんは1948年11月2日生まれの韓国俳優で、長いキャリアを持つ重厚な役者です。
身長は174cmで、演技力と温かみのある人柄で知られ、多くの視聴者やスタッフから信頼を集めています。
彼の代表作には『風の国』での高麗の臣下、『ホジュン〜伝説の心医〜』での宮廷医師、『黄金の私の人生』での銀行家、『感激時代〜闘神の誕生〜』の軍人、『階伯(ケベク)』での豪族など、多彩な役柄を演じてきました。
彼の演技は、何と言っても「重厚さ」と「温かさ」が共存しているところに特徴があります。
『チュモン』ではソソノの父親ヨンタバルを演じ、その優しい中にも厳しさのある演技に視聴者は魅了されました。

歴史劇、時代劇もこなす一方、感情の機微を繊細に表現し、観る者の心を揺さぶる力を持ちます。
彼の出演作品を見て、「あの人、また出てる!」と感じるのは、彼の演技が親しみやすい家族の一員のようだからでしょう。
時に厳格な役を演じ、時に味わい深い家長役に挑戦し続ける、まさに韓国ドラマ界の実力派です。
⑩ムン・ソングン

ムン・ソングンさんは1953年5月28日生まれ、韓国と日本の両方で育ち、長年にわたり韓国演劇と映画界の中心的存在として活躍してきた名優です。
彼の特徴は深みのある落ち着いた演技と、存在感あふれる重厚な声。
父親や兄貴分といった頼りがいのある役を得意とし、『殺人の追憶』では事件の真相に迫る重要人物を、『宮廷女官チャングムの誓い』では重臣役、『神の天秤』『操作』『ムービング』『恋人』などのドラマにも出演し、多彩なキャラクターを自在に演じています。
彼の演技は、ただ強いだけでなく、複雑な感情や繊細な心情を丁寧に描き出すことで深い共感を呼びます。
『私の夫と結婚して』でも最初はちょっと感じ悪かったのですが、その後の演技もすばらしかったです。
『優しい女プ・セミ』の大富豪の役もぴったりでした。

画面に登場するたびに「この人がいるだけでドラマが引き締まる」と言われるほど、ムン・ソングンさんの存在は作品に欠かせないものとなっています。
プロフェッショナルとしての矜持を持ちつつ、自然体の人間味も忘れない、その絶妙なバランスが彼の最大の魅力だと言えるでしょう。
⑪トッコ・ヨンジェ

1957年10月9日生まれのトッコ・ヨンジェさんは、温和な印象と懐かしさを感じさせる演技で、韓国ドラマの安定感抜群な“安心枠”の俳優です。
『刑務所のルールブック』や『応答せよ1988』といった話題作でもその存在感を発揮しています。
特に「きれいな男」では主人公トッコ・マテの父親を演じており「あれ?トッコ・ヨンジェさんの名字が同じだ」と妙な納得をしました。

トッコという2文字の名字はめずらしいですよね。
これらの俳優陣は、まさに韓国ドラマのハラボジ役として欠かせない存在。
長い経験からにじみ出る味わい深い演技が「またこの人だ!」とツッコミながらも愛され続ける理由です。
彼らの出演がドラマに厚みと安心を与えることは間違いありません。
⑫チョン・グクファン

チョン・グクファンさんは1952年7月21日生まれの韓国の名優で、落ち着いた存在感と確かな演技力で知られています。
彼は舞台出身で、長年にわたりドラマや映画で父親や指導者、権力者の役を演じることが多く、その重厚な演技が作品に説得力と深みをもたらしています。
特に『愛の不時着』ではリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の父親役として登場し、静かな威厳と温かみを兼ね備えた演技で多くの視聴者の印象に残りました。
また、『赤と黒』でのホン会長役、『ATHENA-アテナ-』のハン・ジョンピル役、『武士ペク・ドンス』で英祖役など、数々のヒット作で重要な役どころを担い、安定感のある名脇役として活躍しています。
その演技スタイルは、厳格ながらも人間味を感じさせ、場面によっては温かさや優しさをしっかりと表現できるところに特徴があります。
日本の俳優「関口宏」さんに似てるとよく言われているようですが、ほんとよく似てますよね。
長いキャリアを経て培われた余裕と深みが画面から伝わってきて、「ああ、この人がいるドラマは間違いないな」と視聴者に安心感を与える名優です。
よくある質問(Q&A)
Q:本当にハラボジ役は10人くらいで回してるの?
A:半分本当です。主要ドラマに登場する“おじいさん”役は、実際に10〜15人のベテランで占められていることが多いです。作品ジャンルや制作会社のつながりでキャスティングが共通化しやすいためです。
Q:なんで若手ハラボジ俳優が少ないの?
A:韓国では“人生経験の重み”を重視する文化があり、実年齢に見合う深みが演技に求められます。そのため、代替が効かないベテラン俳優へ依存しがちです。
まとめ
韓国ドラマの“おじいさん枠”って、確かに数は少ない。
でも、誰ひとりとして代えがたい存在です。
厳格だけど涙もろくて、時に頑固、そしてお茶目。
そんなハラボジたちがいるからこそ、ドラマにあの“深み”と“人情味”が生まれるのでしょうね。
「またこの人だ〜!」とツッコミながら、結局ラストで泣かされる。
それこそが、韓ドラに欠かせない“ゴールデンハラボジ連合”の底力です。


