サスペンス

D.P. -脱走兵追跡官-は実話?ドラマの評判はいいの?悪いの?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

Netflixで2021年に配信が始まった「D.P. -脱走兵追跡官-」。

主演はチョン・ヘインさんで、兵役中の兵士たちがなぜ脱走するのか、その裏側に潜む軍隊の闇を真正面から描いた衝撃作です。

シーズン1を観た方の中には「これって実話なの?」と気になった人も多いはず。

実際、物語の中には2014年に韓国軍で起きた有名な事件が色濃く反映されています。

今回はその“実話とのつながり”と、ドラマへの評判について掘り下げていきます。

「D.P. -脱走兵追跡官-」シーズン1の実話のシーンはどこ?

「D.P.」は完全なフィクションではなく、韓国軍を震撼させた実際の事件を土台にしています。

原作者のキム・ボトンさん自身もかつてD.P.部隊に所属していたため、彼が体験した空気感や実際に社会問題化した事件が登場人物やシナリオに織り込まれています。

① ユン一等兵の暴行死亡事件

2014年4月、京畿道漣川郡の陸軍第28師団で起きた事件。

ユン・スンジュ一等兵(当時20歳)が先輩兵士らに暴行を受け続け、最終的に脳死となり死亡しました。

打撃だけでなく、食事に異物を混ぜるなど卑劣な嫌がらせも日常的に行われていたと報じられています。

「1970年代ですら存在しなかった前例のない事件」と韓国メディア(KBSニュース 2014年報道)も伝え、全国的な怒りを巻き起こしました。

調査の結果、軍内のいじめが氷山の一角として次々と暴露され、4,000件もの未申告の暴行被害が明らかになったほどです。

ドラマ「D.P.」の冒頭で描かれる新兵の死亡に関するニュース映像や、隊内での執拗ないじめ描写はまさにこの事件を下敷きにしています。

観ていて胸が締め付けられるシーンですが、現実に存在した出来事なのです。

② イム兵長銃乱射事件

同じ2014年6月、江原道高城郡の陸軍第22師団で起きたのが「イム兵長銃乱射事件」です。

兵長が同僚に向けて突然銃を乱射し、5人が死亡、7人が負傷

この衝撃的な事件は韓国全国を震撼させました。

背景には、彼自身が執拗ないじめを受けていた事実がありました。

軍関係者の証言によると、彼はしばしば暴言や排除の対象になっていたとのこと(朝鮮日報 2014年6月報道)。

にもかかわらず、裁判で認められたのは「銃乱射」そのものだけで、死刑判決が下りました。

この処遇には社会からも強い批判の声が上がり、「我慢したらユン一等兵、我慢できなければイム兵長」という皮肉な言葉が若者たちの間で広まったほどです。

ドラマではラストにこの事件を元にした展開が用いられ、観る人に重い問いを投げかけます。

③ D.P.実在部隊と原作漫画

「D.P.」は事件をそのままドラマ化したわけではなく、原作はキム・ボトンさんのウェブ漫画「D.P.犬の日」(NAVER連載 2015年)です。

彼は実際にD.P.部隊に所属し、脱走兵捕獲の過酷さ、そして軍組織の矛盾を目の当たりにしました。

主人公アン・ジュノは作家本人ではありませんが、彼の実体験からインスピレーションを得た部分が大きいと言われています。

「D.P. -脱走兵追跡官-」シーズン2のストーリー背景

シーズン2(2023年公開)は、シーズン1の衝撃的な結末を受け、その後の軍隊と社会全体をどう描くかが注目されました。

背景には、2010年代以降に深刻化した 軍内の人権問題 が大きく反映されています。

セクハラや性暴力事件の多発

特に2021年に韓国空軍で起きた女性中尉のセクハラ告発・自殺事件は社会を震撼させました。

シーズン2では、男女関係なく「声をあげても守られない」軍隊の構造問題が描かれています(SBSニュース 2021年報道)。

軍務から帰還した若者たちの心の傷

軍の閉鎖的な環境に耐えながらも、任期を終えて社会に戻ったときの孤独感やトラウマ。

シーズン2ではジュノやホヨルの心理にもその影響が色濃く表現されていて、軍隊で起きる出来事が「終われば済む話ではない」という現実を突きつけられます。

軍組織と国家の責任

シーズン2全体を貫くテーマは「誰が責任を取るのか」

個人の悲劇で片付けられてきた事件を、組織や制度の責任として問い直す姿勢が強く打ち出されています。

軍務離脱件数は2021年時点で大きく減少していたものの(世界日報 2021年)、暴力や不正は形を変えて今も存在する。

それを正面から映し出したのがシーズン2だと感じます。

「D.P. -脱走兵追跡官-」の評判はいいの?悪いの?

シーズン1の良い評判

軍隊という閉ざされた組織の“リアル”を描いた点に大きな共感が集まりました。

Netflix韓国ランキングで連日トップに入り、SNSでも「見ていてつらいけど目が離せない」と話題に。

特にチョン・ヘインさんとク・ギョファンさんのバディ感には「救われた」という視聴者の声が多く、重いテーマの中でも笑いと人間味を感じられると高評価でした。

シーズン1の悪い評判

あまりにも生々しく、残酷ないじめ描写に「見続けるのがつらい」とする声も多くありました。

一部では「韓国軍のマイナスイメージを強調しすぎているのでは?」という議論も起きました。

結末に関しても、視聴者を突き放すような余韻があり「正直しんどかった」という意見も見られます。

まとめ

「D.P. -脱走兵追跡官-」シーズン1はフィクションドラマでありながら、2014年に実際に起きた【ユン一等兵の暴行死亡事件】と【イム兵長銃乱射事件】を下敷きにしています。

さらに原作漫画は、作者自身のD.P.経験を投影した“限りなく実録に近いフィクション”といえるでしょう。

軍隊のリアルな問題を描き出したことで、観た人の心に深い問いを投げかける作品でした。

重苦しさはありますが、人間の尊厳について改めて考えさせられるという点で非常に意味のあるドラマだと思います。

よくある質問

Q. 「D.P.」のタイトルにある“D.P.”とは何の略?
A. 「Deserter Pursuit」の略で、脱走兵の追跡・捕獲を担当する軍警察組織を指します。韓国軍に実在していましたが、2022年に廃止されています。

Q. 韓国では本当に脱走兵が多いのですか?
A. 2017年には150件、2021年には49件と減少傾向ですが、毎年一定数は発生しています(世界日報 2021年報道)。ただし大半が休暇から帰隊しなかったケースで、暴走して長期間逃亡するケースは稀です。

Q. 「D.P.犬の日」漫画は現在読める?
A. 韓国のNAVERでの掲載は終了していますが、日本ではAmazonや楽天などで単行本を購入可能です。

Q. シーズン2も実話が元になっている?
A. シーズン2も軍内のいじめや人権問題を扱っています。具体的な事件を直接モチーフにしているわけではありませんが、現実の軍環境やニュースを反映した脚本になっています。

Q. シーズン2で描かれた事件は実際にあったの?
A. シーズン2は直接的な事件の再現ではなく、近年の軍人セクハラ事件やパワハラ事件など複数の事例を組み合わせて脚色されています。

Q. D.P.部隊は今もある?
A. D.P.部隊は2022年に廃止されましたが、軍務離脱問題自体が消えたわけではありません。

Q. チョン・ヘインさん演じるアン・ジュノにモデルはいる?
A. 作者のキム・ボトンさん自身がモデルではありませんが、実際のD.P.経験を踏まえて創作されたキャラクターです。

Q. シーズン2の続編(シーズン3)はあるの?
A. 現時点で公式発表はありませんが、制作陣は「軍隊の問題は終わっていない」とコメントしており、継続の可能性が注目されています。

当サイト人気の記事