「結局、何だったの?」と画面に向かって言ってしまった経験、韓ドラファンなら一度はありますよね。

豪華なキャスト、斬新な設定、映画並みの映像美。

「これは神作になる!」と確信して開封したのに、脚本が迷走してモヤモヤだけが残った時の疲労感は計り知れません。

今回は、序盤の期待値がマックスだったからこそ、広げすぎた大風呂敷を畳みきれず、視聴者を置いてけぼりにした「ある意味忘れられない」3作品を厳選しました。

第3位 『アルハンブラ宮殿の思い出』

ヒョンビンとパク・シネの共演に、ARゲームという珍しい題材を組み合わせた『アルハンブラ宮殿の思い出』。

スペイン・グラナダの街とゲームの世界が重なっていく序盤は、「この先どうなるの?」と一気に引き込まれました。

【ここが最高にワクワクした!】

  • 新感覚の映像体験:主人公ユ・ジヌ(ヒョンビン)がARゲームにログインすると、いつものグラナダの街が一瞬でゲームの舞台に変わります。剣を手に敵と戦い、現実とゲームが重なって見える演出は新鮮でした。
  • 謎が謎を呼ぶ展開:ゲームを開発したチョン・セジュ(チャンヨル)は、ジヌに連絡したあと突然姿を消します。さらに、ゲーム内でジヌと戦ったチャ・ヒョンソク(パク・フン)が現実で死亡。その後もヒョンソクがゲームの敵として現れるようになり、「これはゲームなの?現実なの?」と先が気になって仕方ありません。

【ここに「迷走」を感じた…】

ところが、物語が進むほどゲームのルールが複雑になり、個人的には少しずつ話についていくのが大変になってきました。

  • 説明されても分かりにくいゲームの仕組み:ヒョンソクが何度も現れる理由は、最終的にゲーム内の「バグ」として説明されます。ただ、そもそもARゲームの中で起きたことが、なぜ現実の人間の死にまでつながるのか。その根本的な部分は最後までスッキリ理解できませんでした。
  • 要素が多くてまとまりきらない:ヒジュ(パク・シネ)との恋愛、セジュ失踪の謎、ゲームのバグ、ジヌを取り巻く人間関係など、気になる要素はたくさんあります。それぞれに答えは用意されているものの、すべてが一つにつながって「なるほど!」となる爽快感が少なかったようです。
  • 最後までモヤモヤが残る:セジュは戻ってきて、ゲームのバグについても一定の決着がつきます。ところが最後に残されたのが、ジヌの行方です。ゲームの中にはジヌらしき人物がいることが示されますが、本当に生きているのか、その後どうなったのかは明確にされないまま終わります。

まったく伏線が回収されない作品ではなく、途中まで謎だったことには、終盤できちんと答えが出ています。

それでも、「そこが一番知りたい!」というジヌの結末をオープンにしたまま終わるので、見終わったあともモヤモヤ。

グラナダの景色やヒョンビンの孤独を背負った演技、ARゲームという設定が魅力的だったからこそ、もう少しゲームの仕組みやラストまで丁寧に見せてほしかった作品です。

第2位 『静かなる海』

ペ・ドゥナとコン・ユという実力派二人の共演でも注目を集めた、Netflixオリジナルシリーズ。

水不足に陥った近未来の地球と、閉鎖された月面基地を舞台にした本格SFということで、配信前から期待していた作品です。

【ここが最高にワクワクした!】

  • 絶望的な世界観:水資源が枯渇し、飲料水まで階級によって配給されるようになった地球。そんな状況を変える可能性を秘めた謎のサンプルを回収するため、隊員たちは月面基地「バレヘ」へ向かいます。
  • 極限状態のサスペンス:宇宙生物学者ソン・ジアン(ペ・ドゥナ)は、バレヘ基地で亡くなった姉ソン・ウォンギョン(カン・マルグム)の死の真相を追っていきます。一方、探索隊長ハン・ユンジェ(コン・ユ)は、次々と異変が起こる基地内で隊員たちをまとめながら任務を進めることに。何が起きているのか分からない序盤の緊張感には、引き込まれました。

【ここに「迷走」を感じた…】

映像も重厚で、月面基地という閉ざされた空間を使ったサスペンスも好みでした。

ところが、物語が核心に近づくにつれて、個人的には少しずつ置いていかれる感覚も出てきました。

  • 設定が次々と増えていく:物語の鍵となる「月の水」は、人間の体内に入ると増殖する危険な物質でありながら、水不足を解決する可能性も秘めています。さらに、月の水に適応した少女ルナ(キム・シア)まで登場。正体は少しずつ明かされていくものの、情報量が多く、一度見ただけでは整理しきれない部分もありました。
  • キャラクターより謎が先に進む:ジアンと姉の過去や、ユンジェが背負っている事情なども描かれますが、基地の秘密や月の水の謎を追う展開が中心です。そのため、もう少し登場人物の感情をじっくり見たかったという物足りなさも残りました。
  • 結末は「解決」より「この先」が気になる:月の水の正体やルナの秘密については明かされ、ジアンたちも基地から脱出します。ただ、人類が月の水を今後どう利用するのか、ルナはその後どうなるのかまでは描かれません。

謎がまったく回収されなかったわけではなく、核心部分で伏線が回収。

それでも、壮大な世界観を広げたぶん、「ここからが本番なのでは?」というところで終わったように感じました。

SFとしての設定も映像も魅力的だっただけに、もう少しその先まで見せてほしかった作品です。

第1位 『不可殺』

イ・ジヌクとクォン・ナラの共演に、600年を超える因縁と不死の怪物という重厚な設定を組み合わせた『不可殺』。

序盤から、とんでもなく壮大な物語が始まったと期待させてくれるファンタジーミステリーです。

【ここが最高にワクワクした!】

  • 重厚すぎる世界観:不死の怪物「不可殺(プルガサル)」となったダン・ファル(イ・ジヌク)が、家族を奪ったと信じる因縁の女性ミン・サンウン(クォン・ナラ)を600年もの間追い続けます。復讐と転生が絡み合う設定だけでも、引き込まれました。
  • 謎が止まらない設定:なぜファルは不可殺になったのか、転生を繰り返すサンウンは何者なのか、そしてオク・ウルテ(イ・ジュン)はファルたちとどんな因縁を持っているのか。新しい事実が出てくるたびに、それまでの見方が変わっていきます。

【ここに「迷走」を感じた…】

俳優陣の演技も見応えがある一方で、物語が進むほど設定はどんどん複雑になっていきます。

  • 複雑すぎる設定の渋滞:600年前の因縁だけでも十分複雑なのに、終盤にはさらに1000年前の過去まで登場。前世、転生、呪い、怪物、不死といった要素が次々とつながり、「今のこの人は昔の誰だった?」と整理しながら見るのが大変になってきます。
  • ファルとサンウンの関係に戸惑う:最初は復讐する側とされる側だった2人ですが、物語が進むにつれて互いを守る関係へと変化していきます。さらに1000年前から続く深い縁まで明かされるため、憎しみとして見ればいいのか、救いなのか、恋なのか。途中まで2人の関係をどう受け止めればいいのか迷いました。
  • 真相が終盤に一気に押し寄せる:ウルテの正体や600年前の事件、さらに1000年前のファルとサンウンの関係まで、最後には多くの謎に答えが出ます。ただ、その情報が終盤に集中しているため、「なるほど!」と納得するより先に、頭の中で人物関係を整理するので精一杯になってしまいました。

最後まで見ると、なぜファルとサンウンが長い因縁で結ばれていたのか、ウルテがどのように関わっていたのかまで明かされます。

そして最後には、不死として続いてきた因縁にもひとつの区切りがつきます。

ただ、600年どころか1000年前まで遡る壮大な設定を広げたぶん、終盤は真相の説明が一気に押し寄せる展開に。

雰囲気もイ・ジヌクの重厚な演技も好きだっただけに、もう少し早い段階から謎を整理しながら見せてくれたら、もっとハマれた作品です。

まとめ

魅力的な設定や俳優陣の熱演があったからこそ、最後まで「いつか面白くなるはず」と信じて付き合わされた時間は、ある意味で贅沢な苦行だったかもしれません。

脚本が迷走し、伏線が迷子になったとしても、そこで見せたヒョンビンやコン・ユ、イ・ジヌクの姿は確かに輝いていました。

スッキリしない結末も含めて、語り合いたくなるのが韓ドラの奥深さ。

「結局、何だったの?」という感情を共有して、次の名作への糧にしましょう!