「この顔ぶれなら傑作間違いなし!」と確信して視聴を始めたものの、いざ蓋を開けてみると脚本や展開がどうにも肌に合わず、最後までモチベーションを維持できなかった。

そんな切ない経験はありませんか?

今回は、圧倒的な演技力とビジュアルを備えたキャスト陣が揃っていながらも、なぜか物語に没入できなかった惜しい韓国ドラマを3作品、忖度なしの視点で振り返ります。

第3位『エージェント・キム』

第3位は、ソ・ジソプ主演の『エージェント・キム』です。

主演のキム部長を演じるソ・ジソプは、『ごめん、愛してる』『主君の太陽』『オー・マイ・ビーナス』『私の恋したテリウス』などで知られる主演級の俳優。

『ごめん、愛してる』では百想芸術大賞のテレビ男性最優秀演技賞を受賞し、『私の恋したテリウス』ではMBC演技大賞の大賞も受賞しています。

ここに、チェ・デフン、ユン・ギョンホ、チュ・サンウク、ソン・ナウンが加わるので、キャストだけを見るとかなり豪華です。

チェ・デフンは、『怪物』『悪の心を読む者たち』『おつかれさま』などに出演してきた俳優。

一見普通に見える人物の中に、どこか引っかかるものを残す役がうまく、サスペンス系の作品でも印象に残ります。

ユン・ギョンホは、『トッケビ』『梨泰院クラス』『ヴィンチェンツォ』『トラウマコード』など、話題作に出演している売れっ子俳優です。

特にトラウマコードでは、序盤嫌な奴だったけど、娘を助けられてからの豹変ぶりはおもしろかったですよね。

さらにチュ・サンウクは、『グッド・ドクター』『ずる賢いバツイチの恋』『太宗イ・バンウォン』などで知られ、2022年KBS演技大賞では大賞を受賞しています。

主演クラスの俳優が脇に入っているので、名前だけ見れば期待値が上がるのも当然です。

ただ、個人的には物語そのものに思ったほどハマれませんでした。

理由は、豪華キャストなのに展開の面白さが追いついていないように感じたからです。

娘を守る父親、過去を抱えた元特殊要員、巨悪に立ち向かう復讐劇。

設定だけを見ると、引き込まれそうな展開。

でも実際に見ていると、主人公が強く、敵が悪く、最後は力でねじ伏せていく流れが中心で、気持ちが大きく揺さぶられる場面はそこまで多くありませんでした。

ソ・ジソプを主演に置き、チェ・デフンやユン・ギョンホのような実力派をそろえているなら、もっと人物同士のぶつかり合いで見せてほしいところです。

ただ、アクションの迫力や、悪を一気に裁いていくカタルシスは抜群!

まだ序盤なので、離脱してはもったいないから続けて見て行こうと思っています。

第2位『素晴らしき新世界』

第2位は、イム・ジヨン主演の『素晴らしき新世界』です。

主演のシン・ソリ/カン・ダンシムを演じるイム・ジヨンは、『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』で一気に存在感を広げた俳優です。

『ザ・グローリー』では、いじめ加害者パク・ヨンジン役を演じ、第59回百想芸術大賞で女性助演賞を受賞しています。

その後も『庭のある家』『国民死刑投票』『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』などに出演し、悪役、サスペンス、時代劇までこなしてきた実力派です。

そこに、チャ・セゲ役のホ・ナムジュンが加わります。

ホ・ナムジュンは、『YOUR HONOR~許されざる判事~』『その電話が鳴るとき』『100番の思い出』などに出演してきた俳優です。

『YOUR HONOR』では危険な雰囲気のある人物を演じ、『その電話が鳴るとき』でも印象を残していて、ここ最近名前を見るようになった俳優だと思います。

さらに、チェ・ムンド役にはチャン・スンジョ。

チャン・スンジョは、『知ってるワイフ』『ボーイフレンド』『模範刑事』『スノードロップ』などで知られる俳優です。

主演クラスの俳優ですが、脇役も上手で、悪役の時はめちゃくちゃ憎たらしくて、『知ってるワイフ』のような同僚の役の時は頼りになります。

ここにキム・ヘスクやペク・ジウォンのようなベテランも入っており、キャストだけを見ると期待値が上がる作品でした。

ただ、脚本家のカン・ヒョンジュは長編ドラマ初挑戦で、イム・ジヨンもラブコメのイメージが強い俳優ではありませんでした。

ホ・ナムジュンも単独主演はこの作品が初めてで、ロマンスとコメディを引っ張る俳優としては未知数な部分があったようです。

それでも、放送が進むにつれて評価を上げ、Netflixでも海外視聴者を巻き込んで話題になった作品です。

韓国の地上波ドラマでありながら、Netflixで世界同時配信されたことで、韓国の視聴者と海外ファンがほぼ同じタイミングで盛り上がれたのも大きかったと思います。

主役の2人が「悪女」と「怪物」と呼ばれながらも、たった一人の味方を見つけていく流れは、この作品の大きな見どころでした。

時代劇、転生、芸能界、財閥御曹司、ラブコメ。

韓ドラ好きが気になる要素が、これでもかというくらい詰め込まれています。

個人的にハマれなかった理由

ただ、個人的には物語に思ったほどハマれませんでした。

理由は、設定の面白さに対して、細かい部分の回収が少し物足りなく感じたからです。

朝鮮時代に悪女として処刑された女性が、現代の韓国で無名女優として目覚める。

しかも相手役は、冷酷な財閥御曹司。

ここからもっと毒のあるロマンスや、女優としてのし上がっていく痛快さ、過去と現代が絡む切なさが見られるのかと思っていました。

でも実際には、ラブコメの明るさや2人のケミストリーが前に出ていて、タイムスリップ設定そのものの深掘りはやや薄く感じました。

もちろん、地上波ドラマで全14話という枠を考えると、朝鮮時代から現代までの300年の因縁をすべて丁寧に描くのは難しかったのだと思います。

週2話の放送枠の中で、時代劇、現代劇、芸能界、財閥、ロマンスまで入れるとなると、どうしても駆け足になる部分は出てきます。

序盤で意味ありげに出てきた人物の動機や、脇役の背景が、終盤になるにつれてあっさり流れていくように感じたところもありました。

本格的なタイムスリップ・ファンタジーとして見ると、もう少し回収してほしかった部分が残ります。

現代でのシイ・ソリに望んだこと

悪女と呼ばれ、毒を飲まされたほどの女性が、今度は自分の人生をどう取り戻すのか。

現代でシン・ソリとして生きる中で、カン・ダンシムの怒りや悔しさがどう変わっていくのか。

そのあたりをもっとじっくり見せてくれたら、さらに物語に入り込めた気がします。

一方で、この作品が伝えようとしていたメッセージははっきりしています。

たった一人でも、自分を信じて隣にいてくれる人がいれば、人はもう一度生き直せる。

カン・ダンシムとチャ・セゲの関係は、まさにそこに集約されていました。

「悪女」と呼ばれた女性と、「怪物」と呼ばれた男性が、お互いの味方になっていく。

このテーマ自体はとても良かったと思います。

第1位『本日も完売しました』

第1位は、アン・ヒョソプ主演の『本日も完売しました』。

主演のマシュー・リーを演じるアン・ヒョソプは、『社内お見合い』『浪漫ドクター キム・サブ』『ホン・チョンギ』などで知られるトップ俳優です。

『社内お見合い』ではラブコメの主演として人気を広げ、『浪漫ドクター キム・サブ』では医療ドラマの中で成長していく若い医師を演じました。

ロマンスも、職業ドラマも、まじめな役もできる俳優なので、主演に名前があるだけで期待してしまう人は多いと思います。

相手役のダム・イェジンを演じるチェ・ウォンビンは、『THE WITCH/魔女 -増殖-』や『Sweet Home -俺と世界の絶望-』などに出演。

まだ主演級としてはこれからの印象もありますが、アン・ヒョソプとの組み合わせには新鮮さがありました。

さらに、ソ・エリック役にはキム・ボム。

キム・ボムは『花より男子~Boys Over Flowers』で一気に知られ、『九尾狐<クミホ>伝』『ロースクール』『ゴースト・ドクター』などにも出演してきた主演クラスの俳優です。

ここにコ・ドゥシム、チョ・ボクレ、ユン・ビョンヒ、シン・ドンミ、パク・アインなども加わる、超豪華キャストです。

このキャスティングは、ものすごく、期待してしまいますよね。

しかも、設定も面白そうです。

マシュー・リーは、3つの仕事を掛け持ちしながら農場で暮らす完璧主義の男性。

一方のダム・イェジンは、通販番組で商品を完売させる実力を持つショーホストです。

仕事に全力で、自分のことは後回しにしてしまう2人が出会うロマンスコメディ。

田舎、農場、通販番組、仕事に追われる男女、癒やし系ロマンス。

忙しい日常から少し離れて、田舎くらしののんびりとしたロマンスを楽しめそうと楽しみにしていました。

ただ、実際に観てみると、個人的には物語に一番ハマれなかったのが正直な感想です。

アン・ヒョソプ主演で、キム・ボムまで出ているとなると、どうしても期待値は上がります。

ラブコメとしてのテンポや、2人の出会いの面白さ、会話の掛け合いに期待しすぎたのかもしれません。

最初の数話の設定説明や人物紹介で、ちょっと離脱気味に。

通販番組で完売を狙う女性と、田舎で農場を営む男性。

都会と田舎、仕事人間同士、真逆に見えて実は似ている2人。

でも、物語の進み方がスローで、キャラクターの魅力だけで引っ張るには無理があったようです。

特にアン・ヒョソプは、「社内お見合い」でのラブコメでの華やかさを知っているだけに、もっと早い段階で胸が高鳴るような場面が欲しかったです。

チェ・ウォンビンもトップショーホストとしての説得力や、仕事で勝ち上がってきたすごさをもっと見せてくれたら、もう少し感情移入できた気がします。

特に、キム・ボムの存在がもったいなかった。

『花より男子』から見てきた俳優なので、もっと見たかったです。

田舎町の雰囲気や、働きすぎた人が少しずつ自分を取り戻していく流れは、好きな人にはハマると思います。

ただ、私が見たかったのは、もっとキャストの力でぐいぐい引っ張るロマンスでした。

もっと会話のテンポや、恋の始まりのときめき、人物同士のぶつかり合いで夢中にさせてほしかったです。

X→かよよんちゃん