観始めたときは何気なく眺めていたのに、数話進むと、登場人物の仕事や家族のことが気になって、視聴が止まらなくなる。

そんなふうに、じわじわ好きになる韓国ドラマもいいですよね?

仕事帰りに友人と愚痴をこぼす姿に笑ったり、家族に言いたいことが言えない表情に共感したり。

そこで今回は、観るほどに愛着が湧いてくる、地味にハマる韓国ドラマBEST10を紹介します。

第10位 エージェントなお仕事

芸能事務所のマネージャーは、担当俳優の仕事を取ってきても、それでひと安心とはいきません。

出演を断りたいと言われたり、撮影現場で揉め事が起きたり、そのたびに間に入って対応することに。

『エージェントなお仕事』は、芸能事務所「メソッドエンターテインメント」で働くマネージャーたちの、そんな慌ただしい毎日を描いたお仕事ドラマです。

利益を重視する総括理事マ・テオ(イ・ソジン)、担当俳優のためなら強気で突き進むチーム長チョン・ジェイン(クァク・ソニョン)、人がよくて断るのが苦手なチーム長キム・ジュンドン(ソ・ヒョヌ)。

そこへ新人ソ・ヒョンジュ(チュ・ヒョニョン)が加わります。

同じ問題でも、誰が対応するかで話が違う方向へ転がるところが面白いんです。

第1話で困り果てるのが、本人役で登場する女優チョ・ヨジョンを担当しているジュンドン。

劇中では、タランティーノ監督の映画への出演が、年齢を理由に取り消されてしまいます。

ところがジュンドンは、彼女を傷つけたくなくて事実を伝えられず、電話を避け、事務所に来ると身を隠す始末です。

そのうち、新人のヒョンジュが事情を知らずに励まそうとして、本人に理由を話してしまいます。

ジュンドンには「早く自分から話したほうがいいのに」と言いたくなります。

相手を大切に思っていても、悪い報告を後回しにすれば、かえって信頼を失ってしまう。

芸能界の話なのに、この気まずさは仕事でも身に覚えがあるんですよね。

ソ・ヒョヌが演じるジュンドンは逃げ腰でも、担当俳優を思う気持ちが伝わるから、次こそちゃんと向き合ってほしくなります。

第3話では、現実でも嫁姑のキム・スミとソ・ヒョリムが本人役で登場。

ドラマでも姑と嫁を演じる話が来ますが、嫁は撮影中まで姑と一緒に過ごすことに気疲れしそうで、姑も似たような役ばかり演じることにうんざりしています。

それなのに、お互いを傷つけたくなくて断れず、脚本家から断ってもらおうと、2人とも打ち合わせで妙な行動を始めるんです。

相手を気遣うあまり、そろって仕事を潰そうとしてしまうのがおかしくて、出演を実現させたいマネージャーたちは大慌て。

俳優側の事情も、裏で動いてきたマネージャーの苦労も分かるから、どう収めるのか見届けたくなります。

最初はゲスト俳優を楽しみに観ていても、次第に気になるのは、対応に追われる事務所の面々。

性格が分かるほど、次の騒動が楽しみになる、じわじわ愛着が湧く作品です。

第9位 ナンバーズ‐ビルの森の監視者たち‐

高卒で大手会計法人に入った新人が、学歴で見下されながらも、観察力と行動力で少しずつ認められていく。

『ナンバーズ‐ビルの森の監視者たち‐』は、そんな新人会計士の成長と、育ての親を失った事件の真相を追うドラマです。

チャン・ホウ(キム・ミョンス/エル)は、幼い頃に建設現場で保護され、ヘビッ建設のチャン社長に育てられました。

ところが会社が倒産し、社長は自ら命を絶ってしまいます。

会社の清算を告げたのは、テイル会計法人の会計士ハン・スンジョ(チェ・ジニョク)。

納得できないホウは調査を頼もうとしますが、相手が大手のテイルだと知ると、ほかの会計事務所は手を貸してくれません。

そこで、自分が会計士になって真相を調べると決め、勉強を重ねてテイルへの入社を果たします。

ただ、入社しても学歴や出身大学のつながりが重視され、高卒のホウには仕事が回ってきません。

そのうえ、社内で再会した先輩が、あのスンジョ。

調べたい相手の懐に入ったのに、思うように動けないホウが、どうやって力を認めさせるのか気になります。

特に面白いのが、会社の決算書などを確認する監査のために、金融機関へ書類を受け取りに行く場面です。

窓口は高齢の利用客で混雑し、職員も対応に追われています。

そこでホウは利用客の銀行手数料を肩代わりして混雑を解消し、必要な書類も自分で準備。

先輩たちが受け取れなかった書類を持ち帰ります。

職員が対応できない理由を見抜いて動くところが爽快です。

学歴で見下されていたホウが、実際の仕事で力を示すので、ここは応援したくなります。

さらに、監査対象の芸能会社が、公開できていない映画やグッズを資産として計上し、損失を隠していることにも気づきます。

数字の不自然さを調べると、その裏で都合の悪い事実を隠そうとしている人が見えてくる。

ついにホウは、実力が認められスンジョからチームに誘われます。

チェ・ジニョクが演じるスンジョは、頼もしいのに本心が読めず、味方になってくれるのか気になる先輩。

果たして、スンジョはホウのチームに入るのでしょうか?

会計法人という堅そうな舞台に、じわじわハマっていく作品です。

第8位 紳士とお嬢さん

妻を亡くした会社の会長と、3人の子どもたちの住み込み家庭教師。

『紳士とお嬢さん』は、2人の年の差恋愛に、子育てや家族の揉め事が絡むホームドラマです。

パク・ダンダン(イ・セヒ)は、家族の金銭トラブルで住む場所を失い、恩師の紹介でイ・ヨングク(チ・ヒョヌ)の家で働き始めます。

ヨングクは妻を失った悲しみから抜け出せず、子どもたちとの関係もうまくいっていません。

ダンダンが来たからといって、すぐに理想の家庭になるわけではなく、最初は行き違いばかり。

ある夜、雷を怖がって泣く末っ子を見つけたダンダンは、自分の部屋で一緒に寝てあげます。

ところがヨングクは、息子がいなくなったと思い込み、大騒ぎ。

こうした出来事を重ねながら、子どもたちがダンダンを頼るようになる過程に、少しずつ愛着が湧いてきます。

特に印象的なのが、長女がいなくなり、ダンダンとヨングクが捜し回る場面。

ヨングクが娘の友達の連絡先すら知らないことに、ダンダンは怒り、子どもたちへの関心の薄さを指摘します。

会長であり雇い主でもある相手に、必要なことははっきり言うダンダン。

ヨングクも、そこで子どもたちとの距離を縮めるために、ダンダンへ協力を求めます。

仕事では立派な会長でも、家では子どものことが分からず戸惑う父親。

チ・ヒョヌが演じるヨングクは、そんな不器用さがあるから、家族と過ごして笑顔が増えていくと、こちらもうれしくなります。

やがて2人は互いを意識し始めますが、ヨングクの後妻になりたい室長チョ・サラ(パク・ハナ)が、ダンダンを追い出そうと動きます。

せっかく家の中が明るくなってきたのに、邪魔をされるともどかしくて、つい次の話へ。

恋の行方と同じくらい、この家族がどうなるのか気になってくる作品です。

第7位 マンションのお仕事

元暴力団のボスが、マンションの修繕積立金を狙って住民代表の選挙に出る。

『マンションのお仕事』は、物騒な目的で入り込んだ男が、住民との付き合いや管理をめぐる不正に巻き込まれていく犯罪コメディです。

パク・ヘガン(チソン)は、警察幹部から100億ウォンを要求され、拒否したことで賭博場に捜査が入ります。

さらに、父親のように慕うパク・ヨンマン(チョン・ジニョン)まで逮捕され、彼を救うために大金を用意することに。

そこでヘガンは、ご祝儀を集めようと偽の結婚式まで開きます。

招待客役のアルバイトのつもりで来たカン・ハリ(ハ・ユンギョン)は、500万ウォンの報酬で、急きょ花嫁役を引き受けるんです。

怖い元ボスが、お金のために新郎姿になり、初対面のハリと夫婦を演じる。

相手を威圧してきたヘガンが、思いどおりにいかず振り回されるところに笑ってしまいます。

ところが、ご祝儀だけでは目標額に届きません。

次に目を付けたのが、住民が建物の修繕に備えて積み立ててきた巨額のお金です。

そのお金に近づくため、住民代表の会長を目指しますが、独身男性のままでは住民から目立ってしまうため、偽の家族まで作って潜り込もうとします。

ここから、マンションという身近な場所が面白くなってきます。

裏社会で恐れられていた男でも、選挙で票を集めるには、住民に受け入れてもらわなければならない。

大金を狙う話なのに、ご近所付き合いや家族らしい振る舞いが必要になる、そのちぐはぐさがいいんですよね。

住人には、お節介なチャン・スクジン(ムン・ソリ)や、ペントハウスに住む建設会社代表イ・チュンウォン(パク・ビョンウン)など、ひと癖ある人たちがいます。

ヘガンは彼らと関わるうちに、管理費や工事の利権をめぐる不正に踏み込んでいきます。

チソンの演技も楽しくて、取り立てでは冷たい目つきと低い声で相手を追い詰めるのに、偽の結婚式では困惑した表情を見せ、ハリとの言い合いでは余裕が崩れます。

このヘガンが住民相手にどう振る舞うのか、次第に楽しみになってくるんです。

お金を盗むつもりで来た男が、住民と一緒に不正へ立ち向かっていく。

最初の企みがどこへ転がるのか気になり、マンションの面々にもじわじわハマっていく作品です。

第6位 離婚弁護士シン・ソンハン

依頼人の話を聞くときは頼もしいのに、友人と一緒になると、急に気のいいおじさんになる。

『離婚弁護士シン・ソンハン』は、離婚をめぐる切実な相談と、男3人の気取らない友情に、じわじわ引き込まれるドラマです。

シン・ソンハン(チョ・スンウ)は、あるつらい出来事をきっかけに、ピアニストから離婚専門の弁護士へ転身した人物。

事務所を訪れる人たちの、夫婦の間だけでは解決できなくなった問題に向き合います。

最初の相談者は、不倫相手との動画が流出したラジオDJのイ・ソジン(ハン・ヘジン)です。

夫から離婚を求められた彼女が望んでいるのは、息子の親権。

ただ、家庭では夫から外出先で30分ごとに写真を送るよう要求され、その束縛で友人付き合いまで失っていました。

ソンハンは、その事情を聞いたうえで、息子本人が何に傷つき、どう暮らしたいのかにも目を向けます。

母親への怒りを口にする子どもに会い、話を聞くことで、大人たちの主張だけでは分からなかったことに近づいていくんです。

ここが、この弁護士を好きになるところでした。

相談に来た人の言い分を聞くだけでなく、家族の中で声を上げにくい子どもにも会って確かめる。

親権を諦めようとするソジンに、まず食事をするよう促す場面にも、追い詰められた人を放っておけない人柄が感じられます。

そんな重い話の合間に、ほっとできるのが友人たちとの時間です。

事務長のチャン・ヒョングン(キム・ソンギュン)と、不動産会社を営むチョ・ジョンシク(チョン・ムンソン)は、中学時代からの付き合い。

3人が集まると遠慮なくふざけ合いますが、裁判を終えても気持ちが晴れないソンハンを、そばで支えてくれます。

立派な励ましの言葉より、気を使わず一緒にいられる友人の存在がありがたい。

相談者の家庭の話で胸が重くなったあと、この3人のやり取りを見ると、こちらも少し気が緩みます。

チョ・スンウも、友人の前ではふざけた顔を見せる一方、夜の街で見つけたピアノを弾く場面では、激しい演奏にソンハンの抱える苦しさをにじませます。

明るく振る舞うこの人に何があったのか、なぜ音楽の道を離れたのか。

依頼人の行く末と、ソンハン自身の過去を知りたくなる、観るほどに登場人物への愛着が増す作品です。

第5位 誰だって無価値な自分と闘っている

周りの友人は仕事で結果を出しているのに、自分だけが何年も同じ場所にいる。

『誰だって無価値な自分と闘っている』は、そんな焦りや嫉妬を抱えた男が、映画業界で自分の居場所を探していくドラマです。

ファン・ドンマン(ク・ギョファン)は、映画監督を目指して20年。

映画関係者の集まり「8人会」に所属していますが、仲間の中で自分だけが監督デビューできていません。

その不安を隠すように長々と話し、強がるため、周囲との関係もぎくしゃくしていきます。

このドンマンが、観るほどに気になってくるんです。

人の成功を素直に喜べず、余計なことまで言ってしまう姿は、そばにいたら疲れそう。

でも、仲間が先へ進むたびに、自分には何もないと突き付けられるような苦しさも伝わってきます。

強気な言葉の裏にある、自信のなさが見えてくると、ただ面倒な人として片付けられなくなります。

その気持ちを目に見える形にするのが、手首に着けた「感情ウォッチ」です。

本人が強がっていても、不安や恥ずかしさが表示されるので、口にしている言葉と本心のずれが分かるんですよね。

そんなドンマンの脚本に関心を示すのが、映画会社のプロデューサー、ピョン・ウナ(コ・ユンジョン)。

脚本を鋭く分析する彼女は、ドンマンの話にも耳を傾けますが、自身も心に傷を抱えています。

仕事にならないと言われ続けてきた人にとって、自分が書いたものをきちんと読んでもらえることが、どれほど大きいか。

2人のやり取りを観ていると、励ましの言葉だけでなく、話を聞き、作品に向き合ってくれる人のありがたさを感じます。

一方、すでに映画を何本も撮っている監督パク・ギョンセ(オ・ジョンセ)も、新作の興行失敗で劣等感を抱え、ドンマンにいら立ちをぶつけます。

デビューさえできれば安心できると思っていたのに、成功した側にも、次の作品が認められない怖さがある。

ドンマンとギョンセの衝突を見るうちに、どちらの焦りも他人事には思えなくなります。

ク・ギョファンの、勢いよくしゃべり続けるドンマンが印象的で、その強がりを知るほど、少しでも報われてほしくなるんです。

最初は付き合いづらく感じた人の、弱さも面白さも分かってくる。

人と比べて落ち込んだことがある人なら、登場人物の言葉がじわじわ残る作品です。

第4位 エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち

法律の知識は優秀でも、実際の仕事では分からないことばかり。

『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』は、新人弁護士が厳しい上司のもとで経験を積み、学んでいくお仕事ドラマです。

法律事務所ユルリムに入ったカン・ヒョミン(チョン・チェヨン)の指導役は、訴訟チームを率いるユン・ソクフン(イ・ジヌク)。

実力は確かですが、仕事への姿勢にも容赦なく、ヒョミンとの出会いも採用面接での叱責から始まります。

ヒョミンは本に夢中になって電車を乗り過ごし、面接に遅刻。

事情を聞いたソクフンは、時間を細かく区切って報酬を請求する弁護士が、時間を守れなくてどうするのかと厳しく指摘します。

初対面から怖い上司ですが、仕事を始めると、ヒョミンが調べた内容にはきちんと目を通し、筋の通った意見は認めます。

新人だからと見下さず、仕事の中身で判断するところにハマりました。

厳しいけれど、案件を重ねるほど、この人のもとなら力が付くだろうと思えてきます。

印象的なのが、病院の医療機器を壊し、損害賠償を求められた男性の案件です。

話を聞くと、男性はがんの手術に備えて精子を保存していましたが、病院側のミスで使えなくなっていました。

妻と子どもを持つ望みを失った怒りが、機器を壊す行動につながっていたことがわかります。

壊した機器の代金だけを考えれば、依頼人が不利に見える話。

でも、ソクフンたちは、病院側の責任も問い直します。

ヒョミンが依頼人の話を掘り下げて手がかりを見つけ、ソクフンが交渉の方法を考え、先輩弁護士イ・ジヌ(イ・ハクジュ)も動く。

真実が見えてくる過程が面白いです。

イ・ジヌクの落ち着いた話し方や、相手を見る表情も、この上司の頼もしさを感じさせます。

ヒョミンが少しずつ仕事を覚えると、ソクフンへの見方も変わり、視聴している私も事務所の面々に愛着が湧いてくる。

次はどんな依頼に、どう向き合うのか気になって止まらなくるドラマです。

第3位 ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語

ソウルに持ち家があり、大企業では部長。

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』は、その肩書きを誇りに生きてきた中年会社員が、会社と家庭で思いどおりにいかなくなる姿を描くドラマです。

キム・ナクス(リュ・スンリョン)は、勤続25年の営業部長で、次は役員への昇進を狙っています。

上司より高いバッグは持てないけれど、部下より安いものも持ちたくない。

そんな細かいところまで社内の上下関係を気にしていて、見栄と気苦労が入り交じる会社員生活が妙に面白いです。

家庭でも、自分が歩んできた道こそ正しいと思い、大学生の息子キム・スギョム(チャ・ガンユン)に、自分の会社の職業体験へ参加するよう押し付けます。

妻パク・ハジン(ミョン・セビン)が資格の勉強を始めても、息子が別の会社で働きたいと言っても、素直には受け止められません。

印象的なのが、家族で中華料理店へ行く場面です。

予約をめぐって店員を怒鳴りますが、実はナクス自身の勘違い。

息子に謝るよう言われても非を認められず、家族は彼を置いて帰ってしまいます。

ここは、「なんで素直に謝らないのかな?」と、イライラしました。

家族のために働いていると言いながらも、妻や息子の話を聞かず、自分の考えを通そうとする態度は、疲れてしまいますよね。

家族がうんざりする理由もよく分かるから、主人公なのに共感できません。

ところが、そのあと飲む相手も見つからないナクスは会社へ行き、誰もいない職場で部下の机を整理して夜を明かします。

強気だった人が、家にも友人のところにも居場所を見つけられず、結局会社へ戻る。

この姿を見ると、腹立たしかったナクスが、急に寂しい人にも見えてきます。

この主人公を演じている、俳優リュ・スンリョンが上手くて、偉そうに振る舞う顔と、周囲から取り残されて心細くなる顔の両方に説得力があるのです。

困った人なのに、見放せなくなって「きっとその内いい人になってくれるはず」と希望が持てます。

さらに会社でも、同期の左遷や若い後輩との競争で、自分の立場への不安を強めていくナクス。

会社に尽くし、出世すれば家族も幸せになると信じてきた人が、ついに!

最初はあきれていたキム部長の行く末を最後まで見届けたくなる、じわじわと面白い作品です。

第2位 交渉の技術

『交渉の技術』は、会社の売買をめぐる話し合いが、観るほどに面白くなってくる企業ドラマです。

経営危機に陥ったサンイングループを救うため、海外から本社に呼び戻されたのがユン・ジュノ(イ・ジェフン)。

企業の買収や合併を専門とする交渉人で、弁護士オ・スニョン(キム・デミョン)らとチームを組み、11兆ウォンの資金調達を目指します。

最初の大仕事は、グループ内の建設会社を高く売ること。

ただ、建設会社が抱えるマンションの建て替え計画が進まず、それが買い手に値下げを要求される材料になっていました。

住民の同意がそろわず、最後の1人が頑として反対しているため、ジュノは直接現地へ向かいます。

すると、その住民が亡くなった伴侶との思い出がある土地を守ろうとしていることが判明。

ここが面白いところでした。

会社をいくらで売るかという大きな話の行方が、1人の住民の気持ちに左右される。

なぜ相手が断るのかを調べなければ、交渉は進まないということが、具体的に見えてきます。

買い手との話し合いでも、ジュノは相手が安く買いたいと言ったからといって、すぐに譲りません。

その会社を欲しがる理由を探り、相手にとって逃したくない取引だと見抜いて、揺さぶりをかけます。

ただ強気に金額を上げるのではなく、相手の事情を調べたうえで言葉を選ぶ。

何気ない一言にも狙いがあるので、「今の話で相手はどう出るんだろう」と、会話から目が離せなくなります。

銀髪のイ・ジェフンが演じるジュノは、感情をあまり表に出さず、本心が読みにくい人物。

慌てずに相手の話を聞く姿が頼もしくて、追い込まれたように見えても、何か手を用意しているのではと期待してしまいます。

その隣で、場の空気を和らげるのがスニョンです。

新人が交渉相手に余計なことを言ってしまったときも、冗談を交えて受け止めながら、仕事への影響はきちんと指摘する。

キム・デミョンの穏やかな雰囲気が、張り詰めた交渉の合間にほっとできる時間を作ってくれます。

冷静なジュノと、人当たりの柔らかいスニョンが、それぞれの得意な方法で相手を動かす。

この組み合わせにも、じわじわハマりました。

仕事を進めるほど、社内でジュノを邪魔する人の思惑や、彼が戻ってきた本当の目的も気になってきます。

交渉がまとまる爽快感と、次の一手を待つ楽しさで、続きを再生したくなる作品です。

第1位 家いっぱいの愛

11年前に家族のもとを去った父親が、お金持ちになって帰ってきた。

しかも、母子が暮らすアパートの新しい大家として。

『家いっぱいの愛』は、そんな再会から、元夫婦の恋と親子の関係が動き出すホームドラマです。

父ビョン・ムジン(チ・ジニ)は、事業に失敗して財産を失い、妻クム・エヨン(キム・ジス)と離婚しました。

娘のビョン・ミレ(ソン・ナウン)は、母を支えるためにスーパーの商品企画の仕事に励んできた、しっかり者。

母を苦労させた父が現れても、素直には喜べません。

面白いのは、ムジンがエヨンと復縁したいといいだすのです。

それを阻止したいミレの攻防も面白くて、父と離れて暮らそうと引っ越し先を探すミレに対し、ムジンはエヨンへ家賃を無料にすると提案。

引っ越せば出費が増えるエヨンは迷い、ミレはそんな母の態度にも腹を立てます。

家賃が浮くのは助かるけれど、それで過去の苦労まで帳消しにされたくない。

暮らしの現実と、簡単には許せない気持ちがぶつかるので、親子の言い合いにも引き込まれます。

ミレの頑なさが分かるのが、仕事中に無理がたたって倒れてしまう場面です。

病院で目を覚ましても、すぐに起き上がろうとする彼女を、付き添っていた警備員ナム・テピョン(ミンホ)が止めます。

家族を支えようと頑張る姿を見ていると、父への怒りにも、それまで背負ってきた負担が感じられる。

だから、テピョンがミレを気遣う場面では、彼女にも誰かを頼ってほしいと思えてきます。

さらに印象的なのが、母のトラブルに駆け付けたあと、無力さを感じて夜道を歩くミレに、ムジンがこれまでの頑張りをねぎらう場面。

それでもミレは、その言葉を受け入れません。

父に分かってほしかったはずなのに、今さら優しくされても心が追いつかない。

一度壊れた家族の関係が、ひと言では戻らないところに、このドラマの見応えがあります。

元夫婦はもう一度向き合って、ミレは自分の幸せを選べるのでしょうか?

最初は父と娘の張り合いに笑いながら、次第に一人ひとりのこれからを見届けたくなる作品です。

X→かよよんちゃん