韓国ドラマにおいて、俳優の配役は作品の成否を分ける極めて重要な要素です。

時には、放送初期から視聴者やメディアの間で「ミスキャスト」に関する議論や批判が巻き起こるケースが存在します。

今回は単なる個人の好みの域を超え、韓国の主要ニュースやコミュニティサイトで報じられた3作をご紹介します。

第3位『私の夫と結婚して』BoA

第3位は、『私の夫と結婚して』でオ・ユラを演じたBoAです。

BoAが演じたオ・ユラは、ユ・ジヒョクの元婚約者で、クラウド航空の副社長。

物語の後半から登場し、カン・ジウォンとジヒョクの関係を引き裂こうとする新たな悪役です。

BoAといえば、長年K-POP界で活躍してきた歌手というイメージが強いですよね。

それだけに『私の夫と結婚して』への出演は大きな注目を集めましたが、韓国では登場直後から「オ・ユラ役に合っているのか?」という厳しい意見が出ました。

韓国メディア「マイデイリー」は、BoAの演技に対する視聴者の否定的な反応として、次のような声を紹介しています。

「ミスキャスティングだ」「悪役に適していない顔」「残念な演技力」

引用:マイデイリー

直接的に「ミスキャスティングだ」という声まで報じられていますね。

オ・ユラは、大企業一家の令嬢であり、周囲を圧倒するような存在として登場する人物。

それまでパク・ミンファンやチョン・スミンが強烈な悪役として物語を引っ張ってきたところに、後半から新しい悪役として投入されます。

そのため、短い登場時間でも強い存在感を残さなければならない難しい役でした。

BoAについては、表情の演技に違和感を覚えたという評価も韓国メディアで取り上げられています。

「お茶の間に復帰したBoAの変わったように見える顔と、ぎこちない表情演技が作品への没入を妨げるという評価も受けた」

引用:TENASIA

ただ、ここでBoAだけを「ミスキャストだった」と決めつけるのは違うのかもしれません。

韓国では、BoAの演技だけでなく、オ・ユラというキャラクターそのものに対する不満も出ていたからです。

マイデイリーでは、次のような反応も紹介されています。

「キャラクターに魅力がない」「あまりにも面白くないキャラクター」

引用:マイデイリー

つまり、視聴者の違和感は「BoAがオ・ユラを演じたこと」ではなく、物語の後半になって突然強力な悪役が登場する展開にも向けられていました。

一方、制作側はBoAをキャスティング理由を明かしています。

パク・ウォングク監督は、なぜBoAをオ・ユラ役に選んだのかについて、下記のように説明していました。

「オ・ユラが初めて登場するシーンで、視聴者が『えっ、あの俳優がなぜここに!』と反応するほど、存在感と魅力の大きな俳優を探していました。自ら無限の魅力を放ちながら、周囲のすべての人を圧倒できるほどのカリスマを持つBoAさんが、オ・ユラに適していると思いました」

引用:マイデイリー

監督が求めていたのは、登場シーンで「なぜこの人がここに?」と思わせるほど知名度と存在感のある人物だったとのこと。

その意味では、長年トップ歌手として活躍してきたBoAを起用した狙いはバッチリでしたよね。

ただ、実際には「ミスキャスティングだ」「演技力が残念」という声が。

制作側が期待した「強烈な存在感」と、視聴者がオ・ユラという悪役に求めたイメージがうまく重ならなかったのでしょう。

ただ、長年トップ歌手として活躍してきたBoAが、これまでのイメージとは大きく異なる悪役に挑戦したこと自体は評価できます。

華やかさや存在感はBoAだからこそ出せたものでもあり、オ・ユラというキャラクターを強く印象づけたのは確かです。

新しい役柄に挑戦したBoAの姿を見られるという意味でも、忘れられない存在になったことでしょう。

私は、BoAが登場して、「急に世界が広がり、もう一段面白さが広がった」ので良かったです。

第2位『マイ・デーモン』キム・ユジョン

第2位は、『マイ・デーモン』でト・ドヒを演じたキム・ユジョンです。

『マイ・デーモン』といえば、キム・ユジョンとソン・ガンのビジュアルが大きな話題になった作品。

放送前から韓国メディアでも、2人の組み合わせについて「彫刻のようなビジュアル」と注目されていました。

実際、画面に2人が並んだときの華やかさは、このドラマの大きな魅力だったと思います。

ただ、その一方でキム・ユジョンについては、「ト・ドヒという役には若く見えすぎるのではないか」というミスキャスト論も出ました。

ト・ドヒは未来グループの後継者候補で、系列会社「未来F&B」の代表を務める人物。

周囲を簡単には信用せず、仕事では冷静に振る舞う若きCEOです。

キム・ユジョンは1999年生まれで、ドラマ放送開始時は24歳。

その若々しい印象と、会社を率いる冷徹な財閥令嬢という設定がうまく重ならないと感じた人もいました。

韓国ドラマを扱う海外メディアKoreabooでは、視聴者から出たキャスティングへの批判として次のような意見を紹介しています。

「2人とも演じているキャラクターに合っていない。キャスティングが成功したとは思わない」

引用:Koreaboo

さらに別の韓流メディアでは、キム・ユジョンについて、役柄に対して見た目が若すぎるという評価も紹介されています。

「冷たい財閥令嬢という役にはあまりにも若く見え、キム・ユジョンをミスキャストだと批判する声につながった」

引用:KBIZoom

確かに、これまでのキム・ユジョンは『雲が描いた月明り』や『コンビニのセッピョル』など、明るさやかわいらしさを感じさせる役の印象が強い女優です。

『マイ・デーモン』で演じたのは、近寄りがたい雰囲気を持つ若き経営者

本人も、財閥令嬢らしい雰囲気を出すため、衣装だけでなく演技面でも意識していたことを明かしています。

「この人物がどんな考えや自分なりのルールを持って生きているのかを表現するため、声のトーンについて悩みながら演じました」

引用:毎日経済 スタートゥデイ

つまり、キム・ユジョン自身も、普段のイメージとは違うト・ドヒをどう作るかを考えながら演じていたわけです。

ただし、『マイ・デーモン』のキム・ユジョンにはミスキャストという批判があった一方で、韓国メディアでは演技を高く評価する記事も見つかっています。

OSENは、第1話のキム・ユジョンについて次のように評価。

「堂々とした表情としっかりした声のトーンで、CEOらしいオーラを見せた」

引用:OSEN

さらに物語が進んだ後にも、

「状況によって刻々と変わるキャラクターの感情を巧みに表現した」

引用:OSEN

と演技力を評価されています。

私も『マイ・デーモン』を見ていて、財閥企業の代表として部下の前に立っている場面より、クウォンと一緒にいるときのほうがキム・ユジョンらしい魅力が出ていたように感じました。

恋愛パートになると表情が柔らかくなり、ソン・ガンとの掛け合いもかわいらしい。

ソン・ガンとのビジュアルとケミについては高く評価され、2人は2023 SBS演技大賞でベストカップル賞も受賞しています。

最初は「若すぎるのでは」と賛否が分かれたキャスティングでしたが、恋愛ドラマとして見れば、キム・ユジョンだからこそ成立したト・ドヒのかわいらしさもあったのだと思います。

第1位『THE K2』イム・ユナ

第1位は、『THE K2』でコ・アンナを演じたイム・ユナです。

『THE K2』は、チ・チャンウク演じる元傭兵のキム・ジェハを中心に、権力争いと復讐、ロマンスを描いた作品。

ユナが演じたコ・アンナは、有力大統領候補チャン・セジュンの隠し子で、幼い頃に母親を亡くし、その後10年以上スペインで世間から隔離されて暮らしてきた女性です。

明るく華やかな少女時代のユナとは異なる、心に深い傷を抱えた役でした。

実は『THE K2』が始まる前から、韓国ではユナの演技力を不安視する声があったそうです。

韓国メディアは当時、アイドル出身俳優の演技力をめぐる批判が続いていたことに触れ、ユナについても次のように伝えています。

「少女時代のユナも、演技力をめぐる議論から自由ではないとみられる」

引用:デイリアン

それまでユナは『君は僕の運命』『ラブレイン』『総理と私』などに出演していましたが、「アイドルではなく俳優としてどこまで見せられるのか」が改めて問われる作品でした。

ところが、ドラマ序盤の反応は決して悪いものばかりではなく、家に閉じ込められたアンナがラーメンを作ろうとする場面では、世間を知らずに育ったアンナの無邪気さが自然だったと好評。

韓国メディアでは「ユナがついに人生作に出会った」と高評価でした。

しかし、問題は後半です。

物語が進むにつれてアンナには、母親の死をめぐる過去、父親への思い、チェ・ユジンへの怒り、そしてジェハとの恋愛など、複数の感情を同時に表現する場面が増えていきます。

そこでユナの演技に物足りなさを感じる声が出てきました。

CBSノーカットニュースは、ドラマ終盤のユナについて厳しく評価しています。

「ユナは後半に進むほど未熟さを露呈し、視聴者にキャラクターを十分に納得させられなかったという指摘を受けた」

引用:CBSノーカットニュース

同じ記事では、チ・チャンウクについては、まとまりを欠き始めたストーリーの中でも確かな演技力で存在感を見せたと評価。

そのため、アクションから感情演技まで担当するチ・チャンウクと並んだことで、ユナの演技の弱い部分がより目立ったと感じた視聴者もいたのかもしれません。

ただし、ここはユナだけの問題とは言い切れず、『THE K2』は中盤以降、アンナというキャラクターそのものの描き方にも批判が出ています。

序盤のアンナは、母親の死の真相を追い、チェ・ユジンに立ち向かおうとする重要人物でした。

ところがジェハとのロマンスが本格的になると、物語の中心だった政治や復讐との関わりが弱くなり、恋愛の比重が大きくなっていきます。

ユナ自身も、アンナの変化を表現することについて、後のインタビューでこう振り返っています。

「感情表現が未熟だったと思います。個人的にも残念に思っています」

引用:TVデイリー

本人も難しさを感じていたことが分かります。

ユナの演技を後半になっても評価しているメディアも多く、ドラマ終了後には聯合ニュースが、ユナの演技について「悪くない評価を受けた」と伝えています。

それまで多かった明るく前向きなヒロインを離れ、傷を抱えて閉ざされた生活を送るアンナに挑戦したことは、ユナにとって大きなイメージチェンジになったとのこと。

ユナ自身も、この作品を選んだ理由について次のように話しています。

「これまで見せてきた姿とは違うものを見せたくて、挑戦する気持ちで取り組みました。その目的は達成できたと思います」

引用:聯合ニュース

つまり『THE K2』の韓国の評価は、「ユナはミスキャストだった」と簡単に片付けているのではなく、ユナは『THE K2』をきっかけに従来とは違う役へ踏み出した作品だということになります。

もしお時間があれば、感想などもぜひ聞かせてください。

X→かよよんちゃん