「話題作はもうチェック済みだけど、次に観るものがないなー」そんな韓ドラ沼にハマったあなたへ。

Netflixには、派手な宣伝はなくても視聴者の心を震わせる「隠れた傑作」が眠っています。

今回は、物語の完成度や中毒性の高さで韓ドラ通が唸る、あえて選んだ知る人ぞ知る名作を厳選しました。

第3位『サンガプ屋台』

第3位は、笑えるファンタジーから始まり、後半は思いがけない家族の物語へとつながっていく『サンガプ屋台』です。

500年前に犯した罪を償うため、10万人の恨みを晴らさなければならないウォルジュ(ファン・ジョンウム)。

現世で不思議な屋台を営み、客に特別なお酒を飲ませて夢の中へ入り込み、本人が口にできない悩みを解決しています。

ウォルジュは静かに話を聞いてくれる優しい女将ではなく、理不尽な相手には夢の中で仕返しをし、悪い人間には遠慮なくお仕置き。

きらびやかな韓服姿で時には大声で叫び、相手を言い負かしていく姿が気持ちよく、悩み相談のはずが毎回ドタバタ騒動へ発展します。

そんなウォルジュに目をつけられるのが、スーパーのお客様相談室で働くハン・ガンベ(ユク・ソンジェ)です。

ガンベは人に触れると、相手が突然、本音や秘密を話し始めてしまう特異体質の持ち主。

接客中にも客から夫婦問題や恋愛相談を延々と聞かされ、人と触れ合うことを避けながら暮らしていました。

ウォルジュから「屋台で1か月働けば、その体質を治してあげる」と持ちかけられ、半ば強引にアルバイトを始めます。

さらに、ウォルジュの暴走を止めるクィ班長(チェ・ウォニョン)も加わり、口の悪い女将、素直すぎる青年、世話焼きな管理人という不思議な3人組が完成。

この3人の会話が、まるでケンカばかりしている家族のようで笑えます。

特に面白いのが、亡くなった先祖たちが子孫へ宝くじの当選番号を伝える権利を争う「あの世の運動会」です。

先祖たちは子孫をお金持ちにするため、ジャージ姿で走ったり、相手を出し抜こうとしたりと必死。

ウォルジュたちも騒動に巻き込まれ、死後の世界とは思えないほどにぎやかな運動会が繰り広げられます。

先祖が子孫のために本気で宝くじを狙うという発想だけでも面白いのですが、その裏には、どうしても家族に幸せになってほしいという切実な思いが隠されています。

くだらない騒動で笑わせた直後に、残された家族への愛情を見せて泣かせてくるのが、このドラマのずるいところです。

毎回異なる客の悩みを解決する1話完結型なので、序盤は気軽に見られます。

ところが物語が進むと、偶然出会ったように見えたウォルジュ、ガンベ、クィ班長の間に、500年前から続くつながりがあることが分かってきます。

ウォルジュはなぜ10万人の恨みを晴らさなければならないのか。

ガンベはなぜ人の本音を聞く体質になったのか。

そして、いつもウォルジュを見守っているクィ班長は何者なのか。

序盤に何気なく描かれた言葉や行動が後半でひとつにつながり始めると、続きが気になって止められません。

全12話と見やすく、笑える回、切ない回、胸が温かくなる回がテンポよく続くのも完走しやすい理由です。Netflix公式でも、ファンタジー、コメディ、ヒューマンドラマとして紹介されています。

有名な韓国ドラマはほとんど見終わったけれど、まだ心から笑って泣ける作品に出会いたい。

そんなときに見てほしい、知名度だけでは見逃せない隠れた傑作です。

第2位『ライブ ~君こそが生きる理由~』

第2位は、韓国で最も忙しいといわれる交番を舞台に、新人警察官たちの成長を描いた『ライブ ~君こそが生きる理由~』です。

警察ドラマと聞くと、頭脳明晰な刑事が難事件を鮮やかに解決する物語を想像するかもしれません。

しかし、本作の主人公は凶悪犯を追い詰めるエリート刑事ではなく、酔っ払いの対応や交通整理、住民同士のケンカの仲裁に追われる交番勤務の警察官たち。

制服を着ていても怖いものは怖く、失敗すれば怒られ、理不尽な市民の言葉に傷つく姿が驚くほどリアルに描かれています。

就職活動に苦戦していたハン・ジョンオ(チョン・ユミ)は、安定した職業に就くため警察官を目指すことに。

一方、ヨム・サンス(イ・グァンス)は、インターンとして働いていた会社がマルチ商法を行っていたため、突然仕事を失ってしまいます。

被害届を出しに行った警察署で、堂々と働く警察官を見たサンスは、「公務員なら人生を立て直せる」と考えて警察官を志望。

熱い正義感から始まったわけではない2人が、厳しい試験と警察学校の訓練を乗り越え、韓国国内で最も忙しいとされるホンイル交番へ配属されます。

ようやく警察官になれた2人は、制服を着て颯爽と街を守れると思っていました。

ところが、新人に待っていたのは、トイレ掃除や書類整理、先輩の雑用ばかり。

勤務が始まれば、酔っ払いに暴言を吐かれ、住民同士のケンカに巻き込まれ、食事を取る暇もないまま次の通報へ走らされます。

特にサンスは、少しでも手柄を立てようと張り切るほど空回り。

大きな体で現場を走り回り、先輩に怒鳴られてしょんぼりする姿には笑ってしまいますが、イ・グァンスが演じると単なるお笑い担当では終わりません。

怖くても警察官として前へ出なければならないサンスの葛藤が伝わり、失敗ばかりだった彼をいつの間にか応援したくなります。

ジョンオも、正義感が強く、納得できないことには黙っていられない性格。

ある日、ケンカを止めようとしたジョンオは、相手が妊婦だと気づかないままスタンガンを使用してしまい、監察調査を受けることになります。

暴れる人を止めなければ、周囲の人が傷つくかもしれない。

しかし、力を使えば警察官自身が責任を問われます。

一瞬の判断が人生を左右する緊張感が描かれ、「自分だったら正しい行動を選べるだろうか」と考えさせられます。

サンスも学生同士のケンカを止めるため加害者を追いかけ、顔を刃物で切りつけられる事件に遭遇。

普通なら自分を傷つけた相手を憎んで当然ですが、サンスはその少年が仕事を失い、社会からこぼれ落ちていることを知ります。

そして、少年をただ逮捕して終わらせるのではなく、生活を立て直す方法を一から教えようとします。

警察官の仕事は、悪い人を捕まえるだけではありません。

事件を起こした人間が、もう一度同じことを繰り返さないように向き合うことも必要だと伝わるエピソードです。

新人2人を指導するオ・ヤンチョン(ペ・ソンウ)も、本作に欠かせない人物。

口が悪く、新人を容赦なく叱りつけるため、最初は嫌な上司に見えます。

しかし、ヤンチョン自身も過去の事故や後輩の裏切りによって降格し、家庭にも問題を抱えていました。

警察官としては頼もしくても、夫や父親としては失敗ばかり。

妻のアン・ジャンミ(ペ・ジョンオク)とは離婚寸前で、職場でも家庭でも居場所を失いかけています。

それでも危険な現場では真っ先に前へ出て、後輩たちを守ろうとする姿が胸を打ちます。

ホンイル交番には、頼りになる先輩もいれば、自分の評価ばかり気にする上司もいます。

仲間同士で冗談を言い合い、仕事が終われば酒を飲みながら笑っていたのに、通報が入った瞬間、全員が表情を変えて現場へ飛び出していく。

このチームの一員になったような感覚で見られるため、回を重ねるほど交番の仲間たちに愛着が湧いてきます。

事件、恋愛、家族、仲間との絆が絡み合い、登場人物全員にそれぞれの人生があるところも魅力。

犯罪捜査の爽快感よりも、制服の下に隠された警察官の苦しみや喜びを描いたヒューマンドラマです。

第1位『ミッシング~彼らがいた~』

第1位は、遺体が見つかっていない死者たちが暮らす不思議な村を舞台にした『ミッシング~彼らがいた~』シーズン1です。

「幽霊が見える主人公」という設定だけを聞くと、怖いホラードラマを想像するかもしれません。

しかし、実際は失踪事件の謎を追うサスペンスに、家族愛や友情を重ねた涙なしでは見られないヒューマンドラマです。

キム・ウク(コ・ス)は、悪質な詐欺師からお金を奪い返し、被害に遭った人たちを助けている人情派の詐欺師。

ある日、女性が拉致される現場を目撃したウクは、犯人たちに捕まり、山の中へ連れて行かれてしまいます。

どうにか逃げ出したものの崖から転落し、目を覚ますと見知らぬ山奥にあるドゥオン村へ迷い込んでいました。

村にはカフェがあり、子どもたちが遊び、大人たちは笑いながら普通に暮らしています。

一見すると穏やかな田舎の村ですが、電話はつながらず、地図にも載っていません。

さらに奇妙なのは、村人たちの姿がウクとチャン・パンソク(ホ・ジュノ)にしか見えていないことです。

ドゥオン村にいるのは、行方不明になったまま遺体を発見されていない死者たち。

遺体が見つかるまで村を離れられず、自分を捜している家族と会うことも、声を届けることもできません。

最初はパンソクの話を信じなかったウクですが、村で母親を待つ少年ソ・ハヌル(チャン・ソニュル)と出会ったことで状況が変わります。

ウクは村の外にあるバス停で、ハヌルの顔が載った行方不明者のチラシを発見。

「この子を見つけた」と警察へ連絡しますが、村の場所を説明できないため、なぜかウク自身が誘拐犯ではないかと疑われてしまいます。

見つけた子どもは目の前にいるのに、警察には姿が見えない。

母親は必死に息子を捜しているのに、ハヌルは自分がすでに亡くなっていることを知りません。

このもどかしさが、第1話から胸に突き刺さります。

パンソクは15年前に失踪した娘を捜し続けながら、村人たちの遺体を見つける手助けをしてきた人物。

口数が少なく、最初は何を考えているのか分かりませんが、亡くなった人たちの話を聞き、現世で手がかりを追い続けています。

ウクとパンソクは性格がまったく違い、すぐに言い合いになります。

それでも、村人を放っておけないところは同じ。

衝突しながら失踪事件を調べる2人の姿は、いつの間にか年の離れた親子のように見えてきます。

刑事シン・ジュノ(ハジュン)は、突然姿を消した婚約者チェ・ヨナ(ソ・ウンス)を必死に捜しています。

ジュノはヨナが亡くなっているとは知らず、結婚式の準備を進めながら、いつか無事に戻ってくると信じています。

一方のヨナはドゥオン村にたどり着き、ジュノが自分を捜していることを知りながらも、姿を見せることも声をかけることもできません。

すぐ近くにいるのに会えない2人。

ヨナがジュノの姿を見つめる場面は、大げさな演出がなくても胸が苦しくなります。

ウクの仲間で、公務員とホワイトハッカーという2つの顔を持つイ・ジョンア(アン・ソヒ)も、村の外から捜査をサポート。

ウクとパンソクが死者から話を聞き、ジョンアがインターネットや監視映像から手がかりを探し、ジュノが刑事として事件を追います。

死者の村と現実の世界で別々に進んでいた物語が少しずつ交わり、失踪事件の裏に隠されていた真相が明らかになっていく構成が見事です。

しかも、ウクがドゥオン村を見られるようになった理由や、彼の幼少期にも大きな秘密が隠されています。

村人たちの事件を解決するだけの1話完結ドラマだと思っていると、いつの間にかウク、パンソク、ヨナをつなぐ大きな謎へ引き込まれます。

全12話と見やすい長さながら、失踪事件、誘拐、財産をめぐる陰謀、家族との別れまで密度の高い物語が続きます。

怖い幽霊はほとんど登場しません。

そこにいるのは、家族に見つけてもらいたい人、最後の言葉を伝えたい人、なぜ自分が殺されたのかも分からないまま待ち続ける人たちです。

知名度だけで見逃すには惜しすぎる、Netflixで完走必至の傑作です。

もしお時間があれば、感想などもぜひ聞かせてください。

X→かよよんちゃん