韓国ドラマでメインカップルのケミが楽しいドラマは、物語が進むほど「この2人をもっと見ていたい」と思わせてくれます。

恋愛だけでなく、友情や師弟関係にも、息の合った演技に引き込まれる瞬間がありますよね。

今回はNetflixで観られる韓国ドラマから、主演2人のケミが印象に残った10作品を選びました。

言い争いながら近づく2人、ぶつかりながら相手を認めていくカップル。

それぞれの関係が変わる場面を振り返りながら、10位から紹介していきますね。

10位 CASHERO ~ヒーローは現金を持つ~

恋人のキム・ミンスク(キム・ヘジュン)と暮らす家を買うため、こつこつお金を貯めているカン・サンウン(ジュノ)。

ある日、父親から手持ちの現金が多いほど空も飛べるし怪力も出せるという、とんでもない超能力を受け継いでしまいました。

とんでもないという理由は、力を使うたびに、手持ちの現金が減ってしまうのです。

サンウンが財布の中身を気にしながら人助けをする姿はおかしくて、でも少し切実です。

そんな彼を見て、ミンスクは喜ぶどころか「お金を使わないで」と止めます。

2人の将来を考えれば、ミンスクが怒るのも当然です。

それでもサンウンは、困っている人を目の前にすると放っておけません。

人を助けたいサンウンと、2人の暮らしを守りたいミンスク。

ジュノは、ヒーローになりきれないサンウンの迷いを、見事に演じています。

力を使う前にためらい、使った後には減ったお金が気になる。

格好いい場面なのにどこか生活感が抜けないところが、すごく上手い!

一方、キム・ヘジュンが演じるミンスクは、現実的で言うべきことは言う女性です。

サンウンに呆れたり、怒ったりしながらも、彼が人を見捨てられないことを分かっている。

厳しい言葉の奥にある心配が伝わるので、ミンスクを好きになりました。

サンウンが情に流され、ミンスクが現実に引き戻す。

その掛け合いに笑いながら、長く付き合ってきた2人だからこそ言えることもあるのだろうなと思いました。

超能力を使った派手なアクションと、家計を気にする恋人同士の日常。

その両方をジュノとキム・ヘジュンが自然につなげているところが、『CASHERO』の魅力です。

9位 今日から“ニンゲン”に転身しました

人間になることを嫌がり、九尾狐として気ままに生きてきたウノ(キム・ヘユン)。

そんな彼女の前に現れるのが、自信満々のサッカー選手カン・シヨル(ロモン)です。

ウノは人間に深く関わるつもりがなく、シヨルも簡単に人の言うことを聞くタイプではないため、出会ったときから、2人とも一歩も引きません。

ところが、ある出来事をきっかけにウノが人間になってしまい、2人の運命も大きく変わります。

それまで余裕たっぷりだったウノが、思いどおりにならない人間の生活に戸惑う姿が面白い。

すました顔でシヨルに言い返す場面や、予想外のことに慌てる場面で表情がくるくる変わるキム・ヘユン。

最初は少し生意気に見えたウノに、いつの間にか親しみを感じていました。

一方のロモンも、サッカーに打ち込む真剣な姿を見せたかと思えば、ウノに振り回されてむきになる。

格好いいのに、ウノの前では余裕をなくしてしまうところがかわいいです。

ウノが皮肉を言えば、シヨルも負けずに言い返す、この2人のケミは最高!

相手の言葉が気になって仕方ないのに、どちらも素直に認めません。

テンポよくぶつかっていた2人が、少しずつ相手の事情や弱さを知っていく。

最初は「またケンカしている」と笑っていたのに、いつしか「早く本当の気持ちを話して」と思ってしまう。

反発し合う2人の距離が縮まっていく過程を、じっくり楽しめるドラマです。

8位 素晴らしき新世界

朝鮮時代、王の側室でありながら別の男性と通じたという罪を着せられ、毒薬を飲む刑に処されたカン・ダンシム(イム・ジヨン)。

実は、王と大君の権力争いに巻き込まれていたのです。

命が尽きたはずの彼女が目を覚ますと、そこは現代のソウルでした。

無名女優シン・ソリの体に憑依していました。

現代に来たばかりのダンシムは、車も道路も知らず、混乱したまま車道へ飛び出してしまいます。

そのとき、チャ・セゲ(ホ・ナムジュン)の車にはねられそうになり、セゲに助けられました。

ところがセゲは、危ないことをした彼女を厳しく叱ります。

ダンシムは助けてもらった礼を言うどころか、その言い方に腹を立て、セゲへ向かっていくんです。

セゲも応戦し、初対面の2人が人前で取っ組み合いになるという、まさかの出会いでした。

朝鮮時代から来たダンシムには、車道へ飛び出す危険も、セゲが怒った理由も分かりません。

一方のセゲから見れば、助けた相手にいきなり攻撃されたわけです。

このかみ合わなさを、イム・ジヨンとホ・ナムジュンが全力で演じており笑ってしまいました。

その後、セゲが残した名刺を頼りに、ダンシムは彼の会社を訪ねます。

そこで再会したセゲは彼女を相手にしませんが、ダンシムはセゲに迫る危険に気づき、とっさに彼を助けます。

最悪の出会いから始まった2人が、今度は命を救う側と救われる側になる。

この展開で、2人の関係がどう変わっていくのか気になりました。

ダンシムがソリの過去を知っていくにつれ、現代での振る舞いにも変化が生まれます。

その少しずつ変わっていく様子が自然で、イム・ジヨンは本当に上手いなと思いました。

一方、ホ・ナムジュンが演じるセゲも、最初の冷たい印象から変わっていきます。

何を考えているのか分からなかったダンシムのことが、気になって仕方なくなる。

彼女の心をつかもうとして、思うようにいかず振り回される姿がかわいい。

特に印象に残ったのは、2人で済州島へ向かう展開です。

機内で緊急事態が起こり、セゲは大きく動揺します。

その後、ダンシムの姿が見えなくなると、心配して捜しに行く。

いつも余裕がありそうなセゲが、彼女のことになると余裕をなくす。

ホ・ナムジュンの表情から気持ちが伝わってきて、2人をますます応援したくなりました。

最初は相手を警戒していた2人が、いつの間にか相手の姿を探している。

強気な2人が見せる、不器用な恋の表情がたまらないドラマです。

7位 哲仁王后~俺がクイーン!?~

大統領府で料理長を務めるチャン・ボンファン(チェ・ジニョク)は、中国大使に出した魚料理から釣り針が見つかり、職を失います。

さらに身に覚えのない食材納品の不正まで疑われ、警察から逃げようとしてプールへ転落。

目を覚ますと、朝鮮時代の王妃キム・ソヨン(シン・ヘソン)の体に魂が入り込んでいました。

見た目は王妃でも、中身は女好きの男性。

しかもソヨンは、まもなく王の哲宗(キム・ジョンヒョン)と結婚することになっています。

ボンファンが真っ先に困るのは、王妃として哲宗と夜を過ごさなければならないことです。

哲宗が夜になると王妃の部屋へやって来るので、ボンファンは何とか距離を取ろうとします。

自分は男だと打ち明けても信じてもらえず、「ノータッチ」をめぐる2人のやり取りが始まるんです。

哲宗には王妃の実家を警戒する理由もあり、彼が部屋を訪れるのは愛情だけからではありません。

そんな事情を知らないボンファンは、哲宗に近づかれるたびに大慌て。

王妃の姿で必死に初夜を避けようとするシン・ヘソンの演技には笑ってしまいます。

ソヨンの優雅な衣装を着ていても、走り回ったり、大騒ぎします。

哲宗を見る目つきはボンファンそのもの。

シン・ヘソンの体を張った演技が、このドラマの面白さを支えています。

一方の哲宗を演じるキム・ジョンヒョンも、真面目な顔で王妃の予想外の言動を受け止めるところが絶妙です。

何を言い出すか分からない王妃に戸惑いながらも、目を離せなくなっていく様子が面白い。

ボンファンは元の時代へ帰ろうと、宮女たちに井戸の水を運ばせ、水を抜かれた宮殿の池を満たそうとします。

プールでおぼれたのだから、池でおぼれたら現代に戻れると思ったのです。

せっかく水がたまって池へ飛び込んだときも、哲宗は王妃が危ないと思って助けに来てしまいました。

帰りたいボンファンにとっては困った行動なのに、哲宗の側から見ると放っておけない気持ちがわかる場面です。

最初はお互いを警戒していた2人ですが、王宮でともに過ごすうちに、少しずつ相手のことを理解していきます。

ボンファンも哲宗の前で以前ほど身構えなくなり、哲宗も王妃の突拍子もない言動に慣れてくるのです。

中身は男のはずなのに、哲宗との距離が縮まるにつれてボンファンの気持ちも変わっていく。

そこが、この2人から目を離せなくなる理由です。

最初は夜の訪問をどう切り抜けるかで笑っていたのに、いつの間にか2人が一緒にいる時間を楽しみにしていました。

シン・ヘソンとキム・ジョンヒョンの掛け合いが、笑える関係を少しずつ愛おしい関係に変えていくドラマです。

6位 怪物

20年前、マニャンの町で女子大生イ・ユヨンが行方不明になりました。

自宅の庭で見つかったのは、切断された指の先端。

ユヨンの双子の兄イ・ドンシク(シン・ハギュン)は事件の容疑者として疑われますが、妹の行方は分からないまま年月が過ぎます。

現在、ドンシクはマニャン派出所の警察官として働いています。

そこへソウルから赴任してきたのが、エリート警部補のハン・ジュウォン(ヨ・ジング)です。

2人はパートナーを組まされますが、最初から相手を信用していません。

ジュウォンはドンシクの過去を調べ、ドンシクもジュウォンが何かを隠していると感じています。

一緒に捜査しているのに、隣にいる相手がいちばん怪しい。

この緊張感に引き込まれました。

やがて町で若い女性カン・ミンジョンが失踪し、スーパーの前に彼女の指先が並べられます。

20年前の妹の事件を思わせる光景を前に、ドンシクは何を考えているのか。

ジュウォンと同じように、私も彼の表情をじっと見てしまいました。

シン・ハギュンが演じるドンシクは、ふっと笑った次の瞬間には目が冷たく見えます。

妹を捜し続けている兄なのか、それとも事件について何か知っているのか。

笑顔の裏に隠されている気持ちを読み切れないところが、怖くて上手いと思いました。

対するヨ・ジングのジュウォンは、表情を崩さず、証拠を積み重ねて相手を追い詰めようとします。

ドンシクを疑う視線には容赦がないのですが、捜査が進むと、ジュウォン自身も事件と無関係ではなくなってくるのです。

疑う側だった彼が問い詰められる場面では、ヨ・ジングの張りつめた表情に思わず息を止めました。

ドンシクは本心を隠し、ジュウォンは平静を装っている。

性格も捜査の仕方も違う2人の、会話の一言一言が探り合いに聞こえます。

それでも、事件を追うには互いの力が必要です。

疑いが消えないまま同じ方向へ進み、少しずつ相手の抱えるものが明かされていく。

疑いと信頼の間で揺れる2人のケミを楽しめる作品です。

5位 Mr.プランクトン

便利屋を営むヘジョ(ウ・ドファン)は、余命が数ヵ月だと告げられます。

自分は育ててくれた父親の実子ではない。

そう知っていたヘジョは、残された時間で生物学上の父親を捜す旅に出ようとします。

その途中で再会したのが、かつて付き合っていたチョ・ジェミ(イ・ユミ)でした。

ジェミは別の男性、オ・フン(オ・ジョンセ)との結婚を控えています。

ところが結婚式当日、ヘジョが式場に現れ、ジェミを連れ出してしまうのです。

父親を捜すヘジョの旅に、元恋人のジェミが巻き込まれる。

とんでもない始まり方なので、最初はヘジョに腹が立ちました。

ジェミにはジェミの人生があるのに、勝手すぎます。

ただ、旅の中で、2人が昔から互いの寂しさを知っていたことが少しずつ伝わってきます。

ヘジョはふざけた態度で肝心な話を避け、ジェミは怒りながらも彼を放っておけません。

言い合いをしているときは息がぴったりなのに、つらいことほど素直に話せない。

ウ・ドファンは、ヘジョの軽口の後にふっと寂しそうな表情を見せます。

その時、残された時間への怖さや、父親に会いたい気持ちが伝わってくる。

強引で身勝手なヘジョを、どうしても見捨てられなくなるのは、ウ・ドファンの演技の力と魅力だと思いました。

ジェミもまた、誰にも言えない悩みを抱えています。

子どもを授かりたいと願っていたのに、早期閉経だと診断されていたのです。

イ・ユミは、ヘジョに振り回されて声を荒らげる場面では勢いがあり、ひとりで不安に向き合う場面では表情が変わります。

明るく振る舞うジェミを見ていると、笑った後に胸が苦しくなりました。

やがてジェミは、ヘジョの病状を知ります。

それまで怒って追いかけられていた側の彼女が、今度はヘジョの父親捜しを手伝おうと動き出す。

その変化に、2人が過ごしてきた時間を感じました。

けんかをして、追っ手から逃げて、また言い合いになる。

にぎやかな旅なのに、ヘジョに残された時間を思うと、何でもない会話まで大切に見えてきます。

ウ・ドファンとイ・ユミが笑いと切なさを一緒に見せてくれる、忘れられない2人です。

4位 トラウマコード

戦場で負傷者を治療してきた医師ペク・ガンヒョク(チュ・ジフン)が、韓国大病院に着任します。

腹部に包丁が刺さった患者が運び込まれると、ガンヒョクは名乗りもせず、ずかずかと治療の現場に入っていきます。

初対面の医師たちに次々と指示を出し、その場のやり方などお構いなし。

周りは「この偉そうな人は誰?」と戸惑いますが、ガンヒョクは自分の判断で治療を進めてしまいます。

強引すぎる登場に驚くものの、処置が始まると、その腕の確かさから目が離せません。

その場にいた外科医ヤン・ジェウォン(チュ・ヨンウ)も、いきなりガンヒョクのペースに巻き込まれます。

やりたい放題のガンヒョクに振り回されるジェウォン。

2人の師弟関係は、この騒がしい出会いから始まります。

ガンヒョクはジェウォンを自分のチームに引き入れ、次々と現場へ連れ出します。

遠慮なく仕事を任せるガンヒョクと、戸惑いながら必死についていくジェウォン。

この2人の掛け合いが面白い。

印象に残ったのは、救助のためにヘリコプターへ乗り込み、その中で手術をする場面です。

急にヘリに乗せられ緊張するジェウォンをよそに、ガンヒョクは目の前の患者を助けることだけを考えて動きます。

チュ・ジフンが演じるガンヒョクは、強引で口も悪いのに、患者の命がかかった場面では頼もしい。

ジェウォンも彼を認めて必死に食らいつきますが、なんとも不憫。

怒涛の連続夜勤と、度重なる手術。

チュ・ヨンウも、最初は振り回されてばかりのジェウォンを、少しずつ変化させていきます。

怖がっていた現場で自分の判断を求められ、逃げずに向き合う。

大きな事故が起きたとき、ジェウォンが初めて緊急手術の執刀を任される場面には、視聴者である私まで緊張しました。

ここまで来られたのは、ガンヒョクが厳しく教え続けたから。

同時に、ジェウォン自身が患者を救いたいと思い、必死に学んできたからです。

普段はガンヒョクの勢いに押されるジェウォンですが、2人で治療に当たるときには、少しずつ呼吸が合っていきます。

最初のドタバタした師弟関係を見ているだけに、その変化がうれしい。

チュ・ジフンの圧倒的な勢いと、チュ・ヨンウの懸命さ。

性格の違う2人が同じ患者を救おうと動く姿に、ぐっと引き込まれるドラマです。

3位 フォーハンズ ~2人のソナタ~

音楽の名門高校で、ピアノの天才として知られるカン・ビオ(ソン・ガン)。

人一倍練習し、完璧な演奏を目指してきた彼の前に、チェ・ジョンヨ(イ・ジュニョン)が現れます。

ジョンヨは、ビオのように順調な道を歩んできたわけではなく、一度はピアノから離れていましたが、転校をきっかけに再び鍵盤に向かいます。

そんなジョンヨの演奏を聴いたビオは、彼に自分と並ぶほどの才能があると気づくのです。

ずっと努力してきたビオにとって、ジョンヨは気になる存在であり、怖いライバル。

転入してきたジョンヨと距離を置こうとするビオ。

ところが2人は、同じピアノで連弾することになります。

連弾は近くに座り、相手の音を聴きながら弾かなければ、曲はまとまりません。

最初はぎこちない2人が、練習を重ねるうちに少しずつ息が合っていくところが好きです。

ソン・ガンが演じるビオは、学校では完璧な天才に見えます。

でもジョンヨを前にすると、表情に焦りが出る。

頑張ってきたからこそ負けるのが怖いという気持ちが伝わってきて、ビオを応援したくなりました。

一方、イ・ジュニョンが演じるジョンヨは、ビオとは演奏への向き合い方が違います。

ピアノを弾く楽しさを体で覚えているようなジョンヨの姿に、ビオまで引っ張られていく。

相手を認めるほど、自分にはないものが見えてしまうのです。

仲良くなってほしいのに、同じ音楽を愛しているからこそ簡単にはいかない2人が、もどかしくてたまりません。

私は、2人の関係が友情かライバル心か、ひと言では決められないところに惹かれました。

ソン・ガンとイ・ジュニョンがピアノを通して近づき、ぶつかり、また相手の音を求める2人から目が離せないドラマです。

2位 その電話が鳴るとき

大統領室の報道官ペク・サオン(ユ・ヨンソク)と、手話通訳士のホン・ヒジュ(チェ・スビン)は、同じ家で暮らしながら、結婚して3年間ほとんど言葉を交わしていません。

ある日、ヒジュが誘拐されてしまい、犯人から電話を受けたサオンは、妻を人質に取られたと聞いても取り乱さず、冷たく応じます。

その言葉をそばで聞いていたヒジュの傷ついた表情が、忘れられません。

ヒジュはなんとか逃げ出し、犯人の携帯電話を持ち帰ります。

そして、その電話を使って犯人になりすまし、サオンに離婚を迫るのです。

声を機械で変えているので相手は男性だと思い込んでいるサオン。

妻には言えない本音を、電話の相手にはぶつけています。

サオンは電話の誘拐犯を捜しながら、逃げて帰って来た目の前にいるヒジュの様子も気にかけ始めます。

ヒジュは犯人に成りすましていることを知られたらどうなるかと怯えつつ、電話をかけるのをやめられません。

私が好きなのは、サオンの見え方が少しずつ変わっていくところです。

最初は何を考えているのか分からない冷たい人なのに、ヒジュの身に危険が迫ると、彼女を守ろうとして必死になる。

冷静な声の奥にある焦りが伝わるユ・ヨンソクの演技に、何度もドキッとしました。

チェ・スビンも印象的です。

家では言いたいことをのみ込むヒジュが、電話を握ると自分の望みを口にする。

サオンを見つめる目にも、期待が入り混じっています。

電話越しには話せるのに、顔を合わせると話せない。

そのもどかしさがあるからこそ、2人が少しずつ心を通わせる場面が楽しい。

誘拐犯の正体を追う緊張感と、夫婦の距離が縮まるときめき。

その両方を、ユ・ヨンソクとチェ・スビンの表情から楽しめる作品でした。

1位 暴君のシェフ

フランス料理の大会で優勝したシェフのヨン・ジヨン(ユナ)。

新しい仕事を楽しみにしていた帰国途中、古い料理本をきっかけに朝鮮時代へタイムスリップしてしまいます。

そこで出会うのが、食にうるさく、気に入らない相手には容赦しない王イ・ホン(イ・チェミン)です。

現代から来たジヨンは、タイムスリップしたとは思わず、目の前の男性は撮影か何かで王の恰好をしているのだとおもいました。

ホンもまた、見慣れない服を着て遠慮なく言い返してくるジヨンを怪しみます。

出会ったときから会話がかみ合わない2人が、まず面白い。

やがて、ジヨンはタイムスリップした現実を受け入れ、なによりも目の前にいる王は本物だと認識します。

ジヨンは捕らわれの身になりますが、命がけで料理の腕を見せてホンを驚かせます。

ジヨンが最初に振る舞うのは、手元にあったコチュジャンとバターで作ったビビンバです。

散々言い争っていたホンも、その香りに誘われてひと口。

警戒していた目がふっと見開かれ、思わず幸せに包まれたような表情に変わります。

威厳を保ちたい王が、おいしさには勝てない。 イ・チェミンは、目元や口元の変化で見せるので、見ているこちらまで笑顔になりました。

料理をおいしそうに撮るだけでなく、食べた人の反応までたっぷり見せてくれる演出も楽しいです。

物語が進むと、ホンや宮中の人々がジヨンの料理を味わう驚きをCGも使って表現する場面が何度も登場します。

イ・チェミンや出演俳優の豊かなリアクションと遊び心のある映像が合わさって、ジヨンの料理をこちらも食べてみたくなりました。

やがてジヨンは、王の食事を任されることになります。

ただし、ホンの料理人になれば安心というわけではなくて、何を出しても厳しく味を見られ、王宮の人間関係にも巻き込まれる。

ジヨンにとっては、毎回の食事が勝負です。

それでも彼女は、手に入る食材を調べ、料理人たちと工夫しながら、自分にできる一皿を作っていきます。

現代の知識だけで切り抜けるのではなく、朝鮮時代の厨房で必死に料理する姿が、私は好きでした。

一方、イ・チェミンが演じるホンは、王としての威圧感があるのに、ジヨンの料理を食べるときには驚くほど素直な顔を見せます。

ジヨンを気にかけ始めてからは、彼女がそばにいないことを寂しく思ったり、また会うと平静を装ったり。その変化を見るのが楽しい。

料理を作るジヨンと、彼女の料理を待つホン。 何度も繰り返すうちに、それが2人だけの大切な時間になっていきます。

命がけだったはずの食事の場面で、ふっと表情がやわらぐ。ユナとイ・チェミンの息が合っているからこそ、その小さな変化に引き込まれました。

時代も立場も違う2人が、料理を通じて相手を知り、会いたいと思うようになる。2人が並ぶ場面をもっと見ていたくなる、私の中ではこのランキングの1位です。

X→かよよんちゃん