過激な残酷描写に頼らず心理戦で緊張させる韓国サスペンスBEST3

韓国サスペンスの真骨頂は、過激な暴力やグロテスクな描写だと思われていませんか?
緻密に張りめぐらされた伏線、登場人物たちが交錯させる鋭い疑念、そして一瞬の油断も許さない心理的駆け引きこそが、観る者の心を深く揺さぶる最大の魅力です。
過激な暴力やグロテスクな描写が少なくても、息さえ大きく聞こえるような極限の緊張感を生み出す、心理サスペンスの傑作BEST3をご紹介します。
第3位 埋もれた心

デサングループ会長秘書室の常務ソ・ドンジュ(パク・ヒョンシク)が、政財界を裏から操るヨム・ジャンソン(ホ・ジュノ)に反撃を仕掛ける復讐サスペンス「埋もれた心」。
ドンジュは、生き残るためにジャンソンが管理していた2兆ウォンの裏金をハッキングします。
ところが、金を奪われたことを知らないジャンソンは、自分の計画を邪魔するドンジュを殺そうとしたのです。
ドンジュは一命を取り留めたものの、一時的に記憶を失ってしまいます。
その後、姉のアグネス修道女ことソ・ヨンジュ(ハン・ジヘ)が命を奪われたことをきっかけに記憶を取り戻しますが、ジャンソンへの反撃を続けるため、記憶が戻っていないふりをするのです。
冷や汗が出るのは、ジャンソンがドンジュの記憶喪失を疑い、会話や行動のわずかな違いから真相を探ろうとする場面。

アグネス修道女の葬儀に現れ、ドンジュを気遣うような態度を見せるジャンソン。
しかし、アグネス修道女を死に追いやったのは、ジャンソンの指示を受けたチョ・ヤンチュン(キム・ギム)でした。
犯人を知っているドンジュは、姉を奪った張本人を前にしても怒りを表に出せません。
記憶が戻ったと気づかれれば、2兆ウォンの行方を聞き出すため、再び命を狙われる可能性があるからです。
ドンジュはジャンソンに弔問客への対応を任せると、葬儀場で休んでいるように見せかけて外へ抜け出します。

そして、協力者に看護師の格好をさせ、入院していたチョ・ヤンチュンを別室へ誘導しました。
待ち構えていたドンジュは、姉を死なせたチョ・ヤンチュンを激しく殴り、車に乗せて連れ去ります。
その後、ドンジュは急いで葬儀場へ戻り、何事もなかったように振る舞いました。
ジャンソンは、チョ・ヤンチュンが病院から消えたとの連絡を受け、防犯カメラに映ったヘルメット姿の人物を確認します。

さらに、葬儀場へ戻ったドンジュの余裕のある表情を見て、記憶を取り戻しながら演技を続けているのではないかと疑いを深めます。
ドンジュも疑われていることを理解していますが、動揺を見せず、記憶を失った人物を演じ続けるのです。
その後、ドンジュはチョ・ヤンチュンの指輪をジャンソンの家に残し、自分が何かを知っていると遠回しに伝えます。
ジャンソンはドンジュを銃で追い詰めますが、ドンジュは逆に銃を奪い、記憶がないように振る舞いながらジャンソンを揺さぶります。
『埋もれた心』には暴力や殺人を扱う場面もありますが、恐怖の中心となるのは、過激な映像そのものではありません。
記憶が戻ったと見抜かれるのか、ジャンソンの罠をどう切り抜けるのかという心理戦が続きます。
普通に会話しているように見える場面でも、ひと言答えを間違えれば命を狙われるため、ドンジュとジャンソンが向かい合うだけで緊張感が高まる韓国サスペンスです。
第2位 白雪姫には死を

高校生だったコ・ジョンウ(ピョン・ヨハン)が、同級生のパク・ダウン(ハン・ソウン)とシム・ボヨン(チャン・ハウン)を殺害した罪で10年間服役し、出所後に11年前の事件を調べ直す犯罪サスペンスです。
ジョンウは事件当日の記憶を失っており、2人の遺体も見つかっていません。
しかし、事件現場の倉庫には大量の血痕が残され、被害者の血と現場の土が付着したジョンウの運動靴も証拠として提出されました。
さらに、友人たちも事件当日にジョンウがダウンやボヨンと口論していたと証言。
ジョンウは、何が何だかわからぬまま、刑務所に送られ、10年という長い年月を過ごします。
出所したジョンウが故郷のムチョンへ戻ると、露骨な敵意を向ける住民たち。
道を歩けば殺人犯と罵られ、被害者の家族からも激しい怒りをぶつけられます。
誰もがジョンウを犯人だと信じているため、本人が事件を調べ直そうとしても、まともに話を聞こうとしません。

しかし、ジョンウが11年前の出来事を確かめ始めると、住民たちの証言や態度に少しずつ不自然な点が見えてきます。
質問されるとすぐに目をそらす人物や、以前とは違う説明をする人物が現れ、町全体が何かを隠しているように感じられるのです。
とくに緊張感が高まるのが、ジョンウの友人だったヤン・ビョンム(イ・テグ)とシン・ミンス(イ・ウジェ)とのやり取りです。
2人は出所したジョンウに親しげに接しますが、事件当日の行動について聞かれると、証言に食い違いが出てきます。
ジョンウが記憶を取り戻そうとするほど、長年信じていた友人たちが、自分を犯人にするために嘘をついていたのではないかという疑いが強くなります。

さらに、11年間見つからなかったボヨンの遺骨が発見されたことで、事件は再び動き始めました。
ジョンウは、自分が殺して遺体を隠したのなら、なぜその場所をまったく覚えていないのかと疑問を抱きます。
また、当時の警察が遺体を発見できなかったことや、証言の矛盾を十分に調べていなかったことも明らかに。
当初、ジョンウを警戒していた刑事ノ・サンチョル(コ・ジュン)も、11年前の捜査記録を確認するうちに不自然な点を見つけます。

関係者の証言が十分に検証されていないことや、ジョンウを犯人とする証拠が意図的に作られた可能性に気づき、事件当日の出来事を一から調べ直していきます。
なかでも恐ろしいのが、ムチョン警察署長のヒョン・グタク(クォン・ヘヒョ)です。
グタクはジョンウの父親の親友であり、ジョンウを幼い頃から見守ってきた保護者のような人物でした。
出所後も心配そうに声をかけるため、ジョンウにとっては簡単に疑うことのできない相手です。
『白雪姫には死を』は遺体や暴力を扱う場面もありますが、過激な残酷描写は少ないです。
本当に恐ろしいのは、多くの住民の不審な言動。
何げない会話の中に嘘が混じり、味方だと思っていた人物が次々と疑わしく見えてきます。
誰の言葉を信じてよいのか分からない心理戦が続くため、真相が明らかになるまで冷や汗が止まらない韓国サスペンスです。
第1位 怪物

『怪物』は、残酷な殺害場面を繰り返し見せるのではなく、登場人物同士の疑いと探り合いで緊張感を生み出す心理サスペンスです。
20年前に双子の妹が失踪し、容疑者として疑われた過去を持つイ・ドンシク(シン・ハギュン)の前に、エリート警部補のハン・ジュウォン(ヨ・ジング)が現れます。
ジュウォンは、ドンシクが妹の失踪事件や新たに起きた事件について、何かを隠しているのではないかと疑っています。
そのため、何気ない会話の中に質問を紛れ込ませ、ドンシクの表情や返答の変化から嘘を見抜こうとします。
しかし、ドンシクは疑われていると分かっていても、慌てて弁解しません。
質問に正面から答えず、意味深な笑みを浮かべたり、別の質問を返したりして、ジュウォンがどこまで知っているのかを探ります。
ジュウォンが証拠を突きつけて追い詰めたように見えても、ドンシクはその証拠を手に入れた方法や捜査の目的を問い返し、今度はジュウォンの隠し事を暴こうとします。

どちらかが一方的に追及するのではなく、質問する側と疑われる側が会話の途中で何度も入れ替わるところが、『怪物』の心理戦の面白さです。
さらに、2人は互いを疑いながらも、同じ事件を捜査。
相手を完全には信用できないまま行動を共にし、重要な情報をどこまで伝えるのか、わざと黙って反応を見るのかを判断します。
ドンシクが証拠を隠したように見える行動を取れば、ジュウォンは犯人をかばっているのではないかと疑います。
一方のドンシクも、ジュウォンが違法なおとり捜査を行っていた事実を知り、正義を掲げる彼の弱点を握っていきます。
お互いに相手を逮捕できる情報を探しながら、事件を解決するには協力するしかないという関係が、最後まで緊張を途切れさせません。

また、マニャンの住民や警察官たちも、それぞれ秘密や守りたい相手を抱えています。
誰かが嘘をついたとしても、それが殺人を隠すためなのか、家族や仲間を守るためなのかは、すぐには分からないのです。
昨日まで味方だと思っていた人物の証言が変わり、信じられそうな人物ほど怪しく見えてくるため、視聴者もドンシクやジュウォンと一緒に相手の言葉を疑うことになる。
視線の動きや沈黙の長さ、質問に答えるまでの間にも意味があり、ただ向かい合って話しているだけの場面でも、どちらが先に本音を見せるのかと息を詰めてしまいます。

過激な映像で驚かせるのではなく、嘘と秘密が少しずつ崩れていく過程で恐怖を生み出す『怪物』。
ドンシクとジュウォンが疑い合い、利用し合いながら、やがて同じ真相へ迫っていく息詰まる心理戦が、第1位にふさわしい作品です。
もしお時間があれば、感想などもぜひ聞かせてください。
X→かよよんちゃん















